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第49話

碧海side 湊の弟を病室に連れ帰ってから担当医の先生、久我野先輩、湊に発見時の状況を説明した。 本当は本人から死のうとした大まかな理由は聞いたが、それは俺の口から言うべきではないと判断し、飛び降りようとしていたという事実のみを伝えた。 その後、今日は目覚めない可能性も高いことや、面会時間の終了時刻が迫っていたため、俺と久我野先輩は帰ることになった。 その帰りの車中で碧海は久我野と今日のことについて話していた。 「お前はさどう思う?」 「どう思うって何がですか。」 「あの兄弟のこと。」 「まー、似てるなとは思いましたけど。あと拗らせてそうだなーって。」 「あー、やっぱ?」 「やっぱってことは、何か湊が言ってたんですか?」 「いーや。とくには聞いてねー。つか聞けるような状態じゃなかったからな。ただ見てれば分かるだろ?あいつ意外と分かりやすいからな。」 「それは否定しません。」 「ちょっとでも何かきっかけさえあれば、良い方向に行くんだろうけどな。」 「それは間違いないと思いますが、そうは言っても当人たち次第ですよ。外野が口出せることじゃありません。フォローはできますけど結局は当人たちですから。」 「分かってんだけど、こうさ。なんつーの?もどかしいというかさ。」 「そうですね。すっごく分かりますけど俺らは見守ることと話しを聞いてやることしかできませんよ。」 「だな。とにかくできる限りのサポートをするか。」 そんなことを話してるうちに家の近くまで来たので、コンビニのところで降ろしてもらい先輩と別れた。

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