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第57話

直接病室に行こうと思っていたが、途中まで来て和田と合流して、話を聞いてからの方がいいなと思い直し、和田の所へと向かった。 和田が配属されているのは呼吸器科。 一時期は心臓の方もやっていたが、呼吸器科に転属した。 心臓系にも当然強いので、忙しいときには今でも駆り出されるらしい。 医局に着くと近くにいた看護師に声をかける。 「ねぇ、和田先生っているかしら?」 「あ、奥にいると思います。呼んできますね!」 「ありがとう。」 看護師はパタパタと走っていった。 「だからー、誰が呼んでるの?」 看護師が行ってすぐに、和田が看護師に何かを尋ねながら奥から出てきた 「あ、あの先生です」 そう言って、さっきの看護師が私のことを指差した。 「んー?って姫宮先生じゃないですか!!!えっ!?遠くないうちに戻るとは言ってましたけど、こんなにすぐだったんですか!?」 「和田ちゃん、やっほ~。実は昨日帰ってきたばっかなのよ~。」 「まじですか。というか、俺に用事ってなんです?」 「あー、実はさ、今日からまた侑舞くんの担当になったのよ。それで、もう1人の担当医である和田に、現状を聞こうと思ってね。情報の共有は大事だからね。」 「なるほど。てか、やっぱり姫宮先生が侑舞くんの担当なんですね(笑)」 「そーなのよ〜。私がいない間、頑張ってはみたけど全滅だったんだと。困ったもんよね。」 「たしかにカウンセリング行ってないって、いつだかの定期健診の時に言ってた気がする。」 「まー、どうであれ私が担当になってしまったことは変わらないからさ〜。やるっきゃないわ。」 「ですねー。じゃあ、入院してから今日までのことをお話しますね。」 とにかく情報がないと何もできないので、和田から情報をもらい、今後のことについても少し話し合った。 そして、あらかた話をしたところで、病室へと向かうことに。 「侑舞くんきっと驚きますよ。」 「でしょうね。黙っていなくなったことに関して、怒られないことを願うわ。」 「それに関しては怒られてもしょうがない気がしますけどね(笑)」 姫宮は和田の言葉に苦笑しながらも、否定することはできなかった。

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