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第60話

入院してから2週間以上が経ち、ようやく退院の許可が出た。 本当はもう少し早く退院できるはずだったのだが、精神面でまだ不安が残るということで入院の期間が延びたのだ。 通院でもいいのでは?と思ったが、途中でカウンセリングに行かなくなった前科があったので、大人しく言うことを聞くしかなかった。 午前中は退院前の健診をして、15時頃に退院予定だ。 なんと、兄さんがたまたま大学もバイトも無いらしく、迎えに来ると言っていた。 話もしなきゃいけないので、変に緊張していた。 荷物をまとめていると、予定より早く兄さんがやって来た。 「あれ?早くない?」 「んー?暇だったから早く出てきちゃった。荷物、まだまとめ終わってないでしょ?手伝うよ。」 そう言うと兄さんも荷物を詰めだした。 2人でやったから早く荷物もまとめ終わり、雑談していると和田先生と姫宮先生がきた。 「さてと、荷物とか退院の準備はもう大丈夫な感じかな?」 「はい。もう大丈夫です。」 「じゃあ、予定より時間ちょっと早いけど退院するか!!」 そのあと軽く入院費などの支払いについて説明を受けた。 「はい、これで話すべきことも話したしOK。じゃあ侑舞くん退院おめでとう!!!」 「ありがとうございます。本当にお世話になりました。」 「いいえー。元気になってよかったよ!また定期健診の時に会おうね!」 「はい。」 「退院してからもカウンセリングは続くから、カウンセリング忘れないようにね。」 「分かってますよ。」 「それじゃあ、気をつけて帰ってね。」 「はい、ありがとうございました。」 最後にもう一度だけお礼を伝え、歩き出そうとしたとき、姫宮先生が何か思い出したように引き留め、耳打ちしてきた。 「湊君とちゃんと話し合うのよ?湊君、大学もバイトも休みなんでしょ?」 その言葉に頷き、兄さんの方を見ると、兄さんも和田先生から何か言われていた。 何を話しているのか気になったが、とりあえず今は帰ってからのことを考えなくてはと頭を切り替えた。 すると兄さんに帰るよ?と声を掛けられ、先生たちにお辞儀をすると兄さんのとこに駆け寄った。 そして車へと向かい、2週間ぶりの自宅へと帰った。

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