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第61話

和田side ようやく侑舞くんの退院の日がやってきた。 退院前の検査をするために病室へ向かっていた途中、タイミングよく廊下で会った、姫宮先生と話をしていた。 「やっとですね。」 「そうね~。でも、まだ1番の難関が待ってるからねー。」 そう。 姫宮先生の言う通りだ。 難関というのは、今日あの2人はお互いの気持ちと向き合う予定であること。 ついにこの日が来た。 姫宮先生は侑舞くんを、俺は湊君を説得し何とかここまできたのだ。 ここだけの話、侑舞くんの方にはもう1人強い助っ人がいた。 湊君の友人である多賀碧海君だ。 姫宮先生は、もちろん1人でも頷かせることができるが、無理やりじゃあ意味がないからと、多賀君を使ったのだ。 多賀君は一見冷たそうなイメージだが、相手のことはよく見えていて、うまい具合に侑舞くんを説得していた。 はっきり言って俺の方も助けてほしかったくらいだ。 「とはいえ、こっから先は私たちにもどうすることも出来ないからなー。それぞれに頑張ってもらうしかない。」 「ですよねー。」 当人たちと同じくらいこの2人も緊張していた。 「湊君が迎えに来るんだっけ?」 「そうです。大学は午前までにして、午後の授業は休んで来ると言っていたので。バイトも無いそうですよ。」 「あーわざわざ休んだのか。」 「きっかけがないと話ができそうにないからって言ってましたよ。」 「たしかにね〜。なかなか勇気がいる内容ではあるわな。」 その言葉に相槌を打った。 「えーっと、このあとすぐに健診やるんだっけ?」 「そうです。」 「了解。終わったら連絡入れて~。退院前最後のカウンセリングするから。」 「わかりました。」 じゃあまた後でと、2人はそこで別れた。

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