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第69話
その後、授業中も休み時間も兄さんとのことについて考え込んでしまい、ご飯を食べていてもどこか違う世界に行ってしまっている侑舞を、和はずっと心配気に見ていた。
何度も大丈夫か?聞く和に、ほぼ反射で「大丈夫」と返し続けた。
そんなこんなで、久しぶりの学校は考え事をして終わってしまった。
憂鬱な気分を抱えたまま、和と共に家へと帰った。
家の前で和と別れ、玄関の扉を開くとそこには兄さんの靴があった。
バイトに行く前に帰ってきたのだろう。
靴を脱ぎ、リビングに向かおうとしたところで、兄さんが階段を下りて玄関に来た。
兄さんはこちらを見ることなく、バイト行ってくるからとだけ告げると、足早に玄関を出て行った。
そんな兄に行ってらっしゃいと声をかけ、俺はリビングへと入っていった。
(もうダメなのかもな。)
侑舞はどうしたらいいか分からなくなった。
話をしたくても、目すら合わせてもらえない状況で、何ができるというのだろう。
(家出ようかな……。)
だが、今家を出ればおそらくもう関係を修復できることは無くなってしまうだろう。
でも、現時点で解決策など思いつかない。
こんなことなら言うんじゃなかった。
そんな思いが侑舞の心の中を占めていた。
(俺が⋯⋯、俺が兄さんの心を壊してしまった。また俺は殺しちゃったんだ。)
侑舞を襲ったのは、終わりの見えない絶望だった。
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