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第6話
ぱっと目を覚ますと、ベッドに寝かされていた。手枷も足枷も、首にだって枷がついていなかった。服はちゃんと着ていて、逃げられる!とベッドから降りようとすると足腰が立たずに床にドサッと音を立てて落ちた。
「何してる」
「あ……」
何とか立とうと踏ん張っていると、オレグ様がやって来て、体がガクガクと震えた。また罰だなんだと言われて体を弄ばれる。
「アメデ」
「っ!」
「先程使者が来た。真犯人が捕まったと。お前は勘違いで捕まえられただけだから、解放してやってくれとな。」
それを聞いて涙が溢れた。
解放してくれるんだ。
「だが俺はお前を解放する気は無い。」
「え……な、なんで……」
「言っただろ。お前の容姿は伝説でしか聞いたことの無いとな。とにかく珍しいし、綺麗だ。だから俺のものにする。」
そういうや否や、手が伸びてきて抱き上げられる。慌ててオレグ様の肩を掴んだ。
「お前の家はどこだ?」
「っ、も、森の奥……獣人に興味があって、初めて森から抜け出したんだ」
「つまり家がないんだろう。これは好都合だ。ここに住め」
「あっ!」
急にキスをされて顔が赤くなる。
な、何だこの人、そもそも俺、間違えて捕まえられたことに対して謝られてない!
「あ、謝って、ください」
「あ?」
「俺、意味なく捕まって、罰だって受けて……」
「ああ、すまなかったな。だが可愛かったぞ。」
「可愛かったって……」
あんな淫らな姿の何が可愛いんだ。
「……もういいです。ところでその伝説ってなんですか」
「知らないのか?なら教えてやる。リビングに行こう、紅茶は飲めるか?」
「はい……」
リビングに連れていかれ、ふかふかのソファーに座らされる。お尻が少し痛い。顔を歪めると「寝転んでいいぞ」と言われたので、お言葉に甘えてそうすることにした。
「まず、この世界には黒目黒髪の人間なんていないんだ。」
「え……普通にいますけど」
「……まあ聞け。それは伝説に出てくる妖精の姿なんだ。綺麗で美しい。人々の心を癒すことが出来る。誰にも慕われて愛されるその妖精は、ある日独り占めにしたいという人間に捕まった。自由に羽ばたくことも出来ずに、結局餓死したんだ。」
「餓死?」
聞けば妖精は人間と同じものが食べられないらしい。自分で採った物を人に隠れてこっそり食べていたようだ。
「まあ、お前は妖精じゃないから餓死はしないだろう。リンゴ食べるか?」
「うん」
オレグ様がリンゴを食べやすいように切ってくれる。その様子をぼんやりと眺めた。
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