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第7話
「ほら、食べろ」
「ん……甘い」
美味しいリンゴだ。ムシャムシャと食べているとオレグ様が一つ溜息を吐いた。
「使者が来たとき、ついでにお前を見たいと王からの伝言が届いた。今日は出掛けるぞ」
「んっ……王?ぁ、そう言えば、あんたは何で皆に慕われてるの。オレグ様って呼ばれてた。」
「俺は騎士団長だからな。それなりの地位がある。」
「へぇ……。王様とは仲がいいの?」
「幼馴染だ」
王様と幼馴染って凄いんじゃないか。
じーっとオレグ様を見てると「尻が痛いか?」とオレグ様が俺に近づき腰あたりを撫でる。
「あ……それ気持ちいい……」
「ならしばらくこうしてよう。」
優しい温かさに眠りそうになる。
「気持ちいい……寝そう……」
「寝るのはダメだ。出掛けるからな。顔を洗って服を着替えろ。」
「服は無いよ。あんたが裂いた」
「用意してある。ほら、起きろ。」
ゆっくり体を起こして、残っていたリンゴといれてくれた紅茶を飲んで、オレグ様が出してくれた服に着替えた。
「何これ、豪華過ぎない?」
「それくらいがちょうどいい。」
俺が今まで着たことのないような服。貴族とか、そういう人が着るような豪華な装飾が施してある。
「王様の所まで遠いの?」
「少しな。馬に乗って行く」
「え……。乗ったことないよ、俺。」
「一緒に乗るから安心しろ」
安心とか、そういうのじゃないんだけど。お尻と腰辺りがちょっと辛いんだ。そういうのは考えてくれないのか。
「お尻と腰が痛いの」
「ああ、そうだったな。なら馬車にするか?」
「……まあ、我慢するからどっちでもいいよ。」
「馬車にしよう。中で寝転んでいられる」
オレグ様がそう言って頷く。寝転んでいられるんだ。それは有難い。
「王様はどんな人?」
「変わってる」
「ふぅん……。俺から見ればあんたも相当変わってる。」
「何を言う。俺ほど常識人は居ないぞ」
「嘘だぁ」
しらけた目でオレグ様を見ると、目元を大きな手で覆われた。
「そんな目で見るな。馬車を用意してくる。座って待ってろ。」
「はい」
ソファーにそっと座り、体を横にする。
そしてオレグ様を待った。
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