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第8話
暫くするとオレグ様が戻ってきて、俺を抱き上げて外に出る。そして用意された馬車に乗り込んだ。
「ほら、寝転んでおけ」
「腰撫でて」
「ああ」
オレグ様の膝を枕にして横になり目を閉じる。腰を撫でられて気持ちいい。
「アメデ、着いたら起こすぞ」
「うん」
「寒くはないか?」
「大丈夫……」
急に優しくなったから、調子が狂う。
王様に今から会うのは緊張するけど、それより昨日のことで体は疲れていて、心の底から休みたいと思う。
それなのに、しばらくすると「着いたぞ」と言われて仕方なく起き上がった。
「降りれるか?」
「……ちょっと、手貸してほしい」
「ああ、ほら」
オレグ様の手を借りて馬車から降りる。顔を上げると大きなお城が目の前にあって足が竦んだ。周りにはたくさんの兵士さんがいる。どうやらその殆どは獣人のようだ。
「こっちだ」
「……怖い」
「何がだ。何も怖くない。それより周りがジロジロとお前を見てる。俺は気分が悪い」
「は?何で見てくるの?それに気分が悪いの?」
疑問に思ったことを聞くと、オレグ様が俺の肩に手を置き自分に引き寄せる。ちょっと歩きにくい。
「お前が見られるのは容姿が珍しいからだ。気分が悪いのは、お前は俺のものだから。他人にジロジロ見られるのは嬉しくない。」
「いつ俺があんたのになったの?」
「お前を牢屋から出した時から。」
「ただの気まぐれのくせに」
ふんっとオレグ様から顔を背ける。怒ってもいいのにそれどころか俺の頭を優しく撫でて「気まぐれなんかじゃない」といい足を進める。
「気に入ったんだ、お前を。」
「ふーん」
「なんだ、信じないのか?」
「うん。まだ信じない」
お城に入って王様のところまで案内される。その道のりは長い。
「腰痛い」
「運ぶか?」
「うん」
オレグ様に甘えて頷くと、直ぐに抱っこされてそのまま廊下を歩いていく。
「どこまで行くの?王様から来てくれたらいいのに」
「さすがに王だからな。俺達が行かないといけないんだ」
「俺の住んでるところは一番偉い人でもみんなと平等だったよ。」
「それはいい事だ。でも威厳は保たないといけない。」
難しい。でもその事はあまり興味が無いから「そうなんだ」と軽く流した。
少しして王様のいる部屋について、扉の前で降ろされる。案内をしてくれた人が扉をノックして「王様」と大きな声を出した。
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