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第2話

「よくねぇよ!!」 「なんで!!」 「とにかくそれ食うなよ!」 「なんで、せっかく作ってくれたのに…」 「手作りチョコがそんなに嬉しいのかよ!」 「嬉しいよ!」 反発して言い返してしまうコウジ。 「ッ…」 「毎年モテまくる瞬助にはわからないかもしれないけどね」 勢いのまま…つい、少し嫌味を言ってしまう。 自分のために作ってくれたって思うとやっぱり嬉しいから… 「んだと」 「もう、うるさいな…瞬は部屋で自分の貰ったチョコレートでも食べてればいいでしょ!」 不機嫌な瞬助と一緒に居たくなくて、立ち上がって怒っていう。 「ッ、ふざけんなよ!」 「何もふざけてないよ、もう、さっさと出て行って!勉強の邪魔!!」 まだ渋る瞬助の背中を押して強制的に部屋の外へ追い出す。 「ッお前、それ、絶対食うなよ!わかったな!!」 怒ったときのコウジの怖さを知っているので、おとなしく出ていく瞬助だが、部屋の戸を閉めるとき念を押すようにもらったチョコレートを食べないように言う。 それには返事せず、勢い良く戸を閉める。 「……はぁ」 瞬助を追い出して、大きくため息をつく。 バレンタインはお互いに不機嫌になる。 だからバレンタインは嫌いなんだ… 隠し事するなって言うから、チョコ貰ったって言ったら、案の定、機嫌悪くなるし… 瞬はたくさんチョコもらってくるし… そのほとんどが本命チョコだし… それを傍で見ている僕の気持ちとか全然考えないんだから… 今に始まったことじゃないけど… こういうイベントシーズンは瞬助のモテっぷりに嫉妬してしまう。 たくさん告白されて…たくさんチョコレートをもって帰ってくる瞬助… それを考えたら… 「一個ぐらいもらったって…」 そう呟いてしまう。 けれど、瞬助の言葉を聞いて、貰ったチョコレートには手を付けず引き出しに入れる。 モヤモヤする心を無視するように勉強机に戻り、宿題の続きを始めるコウジ。

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