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2月3日の夜。-7
「……オイ、貴様!」
呼ばれて見れば、パーテーションの横で仁王立ちをした青髪の鬼。
……いや、鬼のお面を被った男。
ネームプレートには″アオ″という文字。
「キナコに何をさせていた!」
ドスの利いた低い声。
お面をしているが、その下に隠れた目からキランと鋭く光ったのが見えた。
青黒いオーラを放ち、鬼のお面を外しながら、アオがゆっくりと近付く。
その姿はまるで、悪事を成敗する桃太郎侍。
「……けん、たろーは……なにも悪く、ない……」
そんな俺を守ろうとしたのか、キナコが俺の前に立ちはだかった。
その後ろで、こくこくと必死に頷く俺。
「……キナコがねっ、……」
「黙ってこっちへこい!」
手を伸ばしキナコの腕を簡単に掴む。
そして抵抗するキナコを軽々引き寄せ、アオの背後へと回す。
しかし、すぐにそこからひょこっと現れアオの服を掴んで引っ張る。
「おくちでね、ごほーし……いっぱいしたんだよ……!」
「……なん、だと……?」
ゴゴゴゴゴ……
キナコの言葉が火に油を注ぎ、アオの額に幾つもの青筋が立った。
「貴様……!下僕の分際で、キナコに性的サービスを強要するとは……」
「……は、はぁ?!」
″下僕の分際″
……ではなく、″性的サービスの強要″という言葉にカチンと頭にくる。
「だったらっ!……あのミルクって奴はどうなんだよ!」
怒りに任せて捲し立てながら、すっくと立ち上がる。
そしてビシッと指を差し……
「見ろっ。俺の大事な連れに、あんな……!」
「はい、おくちいっぱ~い入ったらぁ……もぐもぐごっくん、してねぇ♡」
「……ン」
「あーん、コタロォー!もぉ可っ愛いぃぃ♡♡」
小太郎が頬を赤く染め、苦しそうに咥えるのは……太くて大きい、アレ。
……え、恵方巻?!
「……言いたい事は、それだけか?」
「い、いえ………ありません」
アオの吊り上がった瞳の前に、すっかり肝が縮み上がる。
そしてアオに首根っこを掴まれ、ズリズリと奥へ引き摺られていった。
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