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【ユウ×理】リバエッチ①

「今日は、リバ」 撮影開始直前、突然お義父さんがそう一言だけ言った。 あまりにも言葉が足りなすぎて、ユウさんと思わず顔を見合わせる。 が、ユウさんはそもそもお義父さんが言ったことを理解していないようで、目が合うとへらっと笑顔を返してきた。 ユウさんと俺は、BL動画でシリーズものを持っている。 お義父さん曰く、"ゲイ"はなくて、あくまでも"BL"なのがポイントらしい。 ユウさんが先輩で、俺が後輩。 付き合ってまだそんなに時間は経っていない。 簡単だがそんな設定があり、今までは見た目とキャラクター的に先輩役のユウさんが"受"をしてきた。 これまで数作を出してきたが、ちょっとマンネリ気味だ。 だから、今回は思いきって"わんこ系先輩"の下克上にしようと思う。 リバ要望も結構来ているし。 と、カメラをセッティングしながらお義父さんがやっと追加で説明をしてくれた……L○NEで。 どれだけ喋るのが面倒なんだ、この人。 「リバってなあに?」 スマフォを覗きため息をつくと、背中から腕を回してきたユウさんが問うてくる。 肩にちょこんと顎を乗せ、小首をかしげながらこちらを見上げてくる。 天然なんだろうけど、かなりあざとい。 そしてそれを見て、これが翔さんだったらなあ、そんなことをふと思う。 「今日は、ユウさんが俺を抱くってことです」 「え~」 流石のユウさんも、驚いたようだ。 目を真ん丸くして、お義父さんの方を振り返った。 俺としては、"受ける"こと自体は構わないけれど、それ以前にひとつ気になることがある。 「ユウさんて、タチ、できるんですか?」 ユウさんが"攻め"ているところを俺は見たことがない。 や、正確には、以前誉さんに脅されて泣きながらカイさんに突っ込んでるところなら見たことある。 けれど、あれは半分誉さんがカイさんの腰を動かしていたし、ユウさんのお尻にもオモチャが挿入っていたし。 そもそもこの人、前だけでイケるのか? 中イキを覚えさせられた結果、前が使えなくなったパートナーがいる俺としては、更にメスお兄さんを極めているユウさんが出来るとは思えな……。 「ユウ、できるよ!」 なんて思案していたら、両手を振り上げながらやけに元気がいいお返事が返ってきた。 ……へえ、出来るんだ。 何だか肩透かしをくらった気持ちだ。 と、同時に何でこいつにできて、翔さんは出来ないんだと謎の悔しさを覚える。 「はあくした!」 ユウさんは覚えたてのネットスラングを決め、ビシッとお義父さんに親指を立てて見せると、こちらに向き直った。 そして改めて後ろから俺を抱き、うなじにちゅっと音を立ててキスを落としてくる。 「ちょっ」 かと思うと、そのままねっとりと舌を這わされて、背筋が"ひゅん"となる。 思わず肩を竦め、うなじを抑えてユウさんを睨み付けた。 が、彼はそんなのどこ吹く風。 ぺろりと上唇を舐めたあと、ふふんと胸を張って笑った。 「ユウ、台詞35番、からの64番。 動作は45番」 「……」 次いで、お義父さんが、両手を重ねてバツにしながら"タイム"のジェスチャー。 するとユウさんはスンッと無表情になり、小首を傾げた。 彼はアドリブは全くきかないけれど、事前に内容を覚えさせておけば正確に再現することが出来る。 暇を見つけてはお義父さんが何かしら仕込んでいるのは知っていたが、まさか下克上パターンまであったとは。 そしてそのまま三秒ほど停止していたユウさんだが、不意に傾げた首をもとに戻し、 「いつも理ばっかズルいよ。 今日は、おれが理を気持ちよくするんだから」 ……と、やけにスラスラっと台詞を喋った。 そして後ろからぎゅっと俺を抱き締めて、シャツの下から手を突っ込んで腹を撫でてくる。 「はあ?って、ちょ、ちょ……っ」 突拍子もないユウさんの行動が読めずにいると、その隙にその細い手が乳首を掠めた。 「な"っ、あ、やめ……っ」 ーーーこう見えて。 元々は"ネコ"からこの世界に入った俺は、勿論乳首もバッチリ開発済だ。 ギュッときつく摘ままれると、電流が体の芯をビリリと走り抜ける。 体が大きくなって、タチを要求されることが増え、あまり使う機会がなくなった分、刺激を受けたときの反応は顕著だ。 「や、やだ、やめ……」 「ふふ、理。おっぱい気持ちいいの? かわいい……」 耳たぶをなぶりながら、吐息混じりでユウさんが言う。 臀部に押し付けられた熱のせいで、意思とは裏腹にそこが疼き始めた。 「ん……っ」 ユウさんの指が、ぎゅっぎゅっと乳首を摘まんだり、離したりを繰り返す。 流石メスお兄さん代表。 気持ちのいいやり方を心得まくっている。 意外だったのは、ユウさんの力が思ったよりもずっと強いことだ。 引き剥がそうとしてもビクリともしない。 そういえば、病弱な彼には体力作りのための専属トレーナーがついているんだった。 最近体の調子がいいのもあって、かなりトレーニングが捗っていると誉先生が言っていたっけ。 仕方なくベッドに胸を押し付け、ユウさんの猛攻をかわそうとする。 が、それが逆効果だった。 「んふふ~」 これ幸いとユウさんは俺の腰に馬乗りになり、背中にのし掛かってくる。 そして後頭部にキスを一つ落とした後、ゆっくりまたうなじをなぶり始めた。 「ひゃっ……ちょっ、ユウさ……!」 「さとる、わるいこ、ダメ」 「んんっ」 少しでも抵抗を見せれば、痛いほど強く乳首を摘ままれる。 その痛みすら快感に変えてしまうこの体が恨めしい。 ぐっと奥歯を噛み締め矯声をこらえる。 ユウさんの膝が閉じた太ももを割り開くように侵入してくる。 乳首への攻撃で力が抜けたこの体での抵抗は、全くの無駄だ。 そして今度はその膝が、グリグリと敏感な股の部分を刺激してくる。 「ちょっ、ユウさん、ほんと、ダメです」 「ふふ、ぴくぴくしてきた」 一方でユウさんは楽しげに膝を動かしながらにんまりと微笑む。 それからもう一度お義父さんの方を振り返った後、また俺の耳の後ろを舐めた。 「……理」 その、声に。 俺は一瞬言葉を失った。 だってその声が、俺が愛する唯一の人、翔さんそのものだったから。 ふうっと耳に行きを吹き掛けながら、それは続く。 「理、いいだろ?」 その声は、俺を大いに混乱させた。 思わず振り返ろうとしたら、その頭を捕まれてベッドに顔を押し付けられる。 視界を奪われた状態で、更に耳元で囁かれる。 「お前が欲しいんだ」 体が強ばって、弛緩した瞬間にするりとズボンの中に手が入ってきたのを感じた。 頭を抑えつけていた手が、そっと外される。 すっと尻を撫でられながら、また耳元で声がする。 「理、可愛い」 「…………ちょっと、待って」 やっと顔をあげると、"ドヤ顔"のユウさんと目が合った。 「どういう、こと」 「ふふ」 ユウさんは得意気にそう笑うと、 「ユウねえ、"まねっこ"、とくいなんだよお」 と、いつもの声、のらりとした口調で返してくる。 真似っこ? とりあえず細かいことは置いておくとして、していいことと、悪いことがある。 よりによって翔さんの真似だなんて、絶対に許せない。 ずるい、卑怯だ。 腹が立ってユウさんから抜け出そうと体を捩った。 けれども、ユウさんはやはりビクリともせず、俺の頬にキスをして、また狡い声で言うんだ。 「理、今夜は俺が、君を抱きたい いいだろ?」

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