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二人で過ごす昼休み_05
田中は素直じゃないな。
なかなか美術室に来ないからベランダから下を覗けば、ブニャと田中が見える。
声を掛ければ、ここに来やすくなるよな。
「おーい、美術室に来いよ」
「ブニャに会いに来ただけだし」
と、つれない返事をする。
「俺にも会いに来い」
寂しいだろうと、手招きをすれば、
「しょうがないな」
ブニャの頭をひと撫でした後、昇降口へと向かった。
田中がくるまでには少し時間が掛かるので弁当を広げて待つことにした。
今日も俺の為に沢山のオカズをつくって詰めてくれた。毎朝、大変だろうに、本当にありがたい。
「すげぇ量」
美術室につくなり、そう口にする。
「あぁ、よくいわれる」
教室で食べていた頃、クラスメイトも俺の弁当に驚いていたな。
「いい母ちゃんだな」
「これを作ったのは祖母だ。親は海外にいるからお世話になっているんだ」
「へぇ……」
昔からじぃちゃんの家で暮らしているからな。寂しく無かったのかと聞かれ、その分、可愛がってくれるからと返す。
「畑があってな、一緒に土いじりとかしている」
畑はじぃちゃんの趣味。自分で育てたものでばぁちゃんに料理を作ってもらう。それがお互いに楽しみで、素敵な夫婦だと俺はそんな二人が大好きだ。
「そんなイメージある」
「友達にも言われる」
その言葉に、何故か田中の表情がかたまった。
もしかして、友達と喧嘩をしたのか? だからその言葉に反応してしまったのだろうか。
「おい、田中?」
目の前にひらひらと手を振ると、瞬きをし、ゆっくりとこちらを見た。
「え、あぁ、わるい」
我に返ったか。別の話題にかえた方がよさそうだな。
「上の空だなぁ。もしかして、五時間目にテストでもあるのか?」
「あ……、テストはあきらめてるから問題ない」
「お前ねぇ、そりゃ問題ありの方だろ」
話しは学業のことへと流れていく。
どうやら、田中は学年で下の方の成績らしく、橋沼さんはどうなんだと聞き返された。
「言っておくが、俺は毎回トップテンに入るぞ」
勉強は好きだ。自力で答えにたどりつく事ができた時の達成感は良い。
だが、田中は自分と同類だと思っていたようで、舌打ちをされてしまった。
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