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友達+α_03
俺の傍にいる時は安心して身を任せればいい。そう思いを込めて背中をゆっくりと撫でた。
はじめは戸惑っていたが、身体の強張りが解かれて俺に身を任せるが、突如、ビクッと身体が震えた。
「どうした?」
くすぐったかったのか?
折角、いい感じだったのに。温もりが離れて寂しい。
「暑苦しいんだよ」
と、手でガードするように俺の身体を押されてしまう。本当、懐く前の猫みたいだな。
「可愛くない」
少し憎たらしいので、スリーパーホールドを食らわせてやる。
後ろから相手の首に腕をまわして頸動脈を締め上げて気絶させる技なのだが、本気で落とすつもりはなので軽くかける。だが苦しいようで、
「降参」
と腕を叩かれた。俺はガッツポーズをして見せると、田中が首を摩りながらジト目を向ける。
「お前は抱擁よりもプロレス技の方が良いようだな」
「どっちも嫌だてぇの」
「はは、真っ赤だな」
照れてる、照れてる。本気で嫌がっていなくてよかった。
俺、今、表情が緩んでいるだろうな。口がひくひくとしていて、そんな俺を見て田中が驚いている。
やばい、キモいとか思われてしまう。俺は意識を別の方へと向けるように、ぎゅっと田中の鼻を掴んでやる。
上手くいったようで、田中が俺の手を払いのけた。それに対して可愛くないというように、今度は乱暴に髪を撫でてやった。
田中の隠し事を聞いてしまったんだ。今度は俺の番だよな。
頭を撫でる力を徐々に弱め、あの日、俺の絵が切り裂かれた時の話を田中に聞かせた。
ブニャが話すきっかけをくれた事。初めて見る田中はまるで警戒している猫のようだったと、知りたいと必死だったことも話す。
冬弥の事も、俺を心配しての事だからと、謝らせることを約束した。
謝罪はいらないと田中は言ったが、傷つけたことは確かだ。絶対に謝らせよう。
そして、大切な事を一つ。
「これからも一緒に飯を食おうな」
「あぁ」
その言葉に、田中がホッとしたような表情をしている。俺も美術室での時間を続けられることを嬉しく思っている。
先ほどまで胸の奥がモヤモヤとしていたが、やっとそれも晴れていく。
田中は弟的な存在か。冬弥に感じるものとは違う思いがある。
それについ構いたくなる。田中が嫌がってウザいと思われても、これはやめられないだろう。
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