25 / 72
友達+α_04
冬弥は女子に優しい男だ。しかも背が高くて顔も良い。
そんな男を女子が放っておくわけがなく、いつも冬弥を中心に女子が傍にいる。
昼休みも、女子と一緒に食堂へ行ってしまうので、その前に冬弥の首根っこを掴む。
「なによぉ、総一はあいつとご飯でしょ」
早くいきなよと言うが、手を離してはやらない。
「ごめんね、冬弥、かりていくわ」
女子には笑顔でそう伝えると、誰も文句を言うことなく、どうぞと離れていく。
「ちょっと、俺は二人の邪魔になるだろ」
行きたくないと冬弥が駄々をこねるが、
「冬弥、昨日、田中にした事を謝らないとなぁ」
怒りを込めた笑顔を向けた。
「何でよ。俺は正直に話しただけだろうが」
「それで傷つけてよいわけではないだろう?」
冬弥だって解っている。だから動揺したんだよな。肩が小さく震えていた。
「大丈夫だったか」
「あぁ」
まったく。昨日、眠れなかったんだってな。冬弥の弟、彰正が教えてくれた。
目の下の隈に親指で触れると、冬弥が驚いて目を見開く。
「ちょっと、そういう事は女子にしなさいな」
本気で嫌そうな顔をされて、苦笑いする。
俺も冬弥にされたら嫌だと感じるだろう。だけど田中だったら、平気かもしれない。
「行こうか」
と手を掴むと、やめなさいと振り払われた。
ともだちにシェアしよう!