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友達+α_07

 欲しいと思う反応が見れて、つい、調子にのってしまう。 「あぁ。ほら、呼んでみろ。総一センパイって」  語尾にハートをつけろよと付け加えると、ジト目で見られてしまった。  やりすぎたか? だけど引いたついでに、もう一つプラスしてやろう。 「可愛く言えよ」  完全に目が座った。それでも、 「総一先輩、はぁと」  まさか、やってくれるとは思わなかった。緩む口元を見られぬように手で押さえた。 「笑ってんなよ。リクエストにこたえてやったのに」  違う、あまりに可愛かったので悶えているんだ。 「ありがとうな、秀次」  あぁ、このまま撫でまわしてキスしたい。嫌がって威嚇されるかな、それとも照れるか。  どんな反応を見せるか、その想像にウットリとし、気がつけば俺はそれを実行していた。  頬に手を当てて呆然とする秀次を見て、やっちまったと流石に血の気が引く。 「おま、あれ」  動揺しているな。まぁ、当然だよな。俺もすごく動揺している。 「懐かないにゃんこが甘えてきたから、つい、な」  なんて、苦しいかな、この誤魔化しは。 「はぁ、俺だからいいものを。他の人だと勘違いされるぞ」  お、誤魔化されてくれた? それとも意味を考えたくないのかな。  とにかく、今は何も言わないでいてほしいので、助かるわ。 「そうだな。こういうことは秀次だけにする。駄目か?」  安心して、おもわずポロリと口にしてしまった。  折角、収まりそうだったのに。また動揺させるような事を言ってしまったが、秀次の反応は普通だった。 「わかったよ」  よかった。本気で拒否られたら、悲しいしな。  今はなんとかなったが、あれはやばいよな。完全に友達という枠を超えている。  額に手を当て、ため息をつく。  見た目は男らしいのに、中身は可愛いんだよな。  抱きしめたり、キスしたくなるのは、ただ可愛いからだけでなく、他の感情も交じっていた。  だからって恋愛対象として好きというわけではない、よな?  あぁ、これ以上は考えるのをやめよう。  それがどんな感情だろうが、俺は秀次を甘やかすし、いつものように過ごすだけだ。

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