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告白_03

 ウソだろ……。  この状況に、頭の中が混乱して落ち着かない。  それをほぐすかのように、総一さんの舌が歯列をなぞり絡まりつく。 「ん、ふぁ」  気持ち良くて、思考がとろけてしまう。  目の奥がツンとなり自然と涙が流れ落ちた。 「意外と泣き虫だな」  唇が離れ、涙の痕に口づけをする総一さん。泣かせているのはアンタだろう。 「ビックリしたんだよ」  つい、乱暴な口調となってしまうのは、照れからだ。 「そうだよな、驚いたよな」  今度は、チュッと音を立ててかるく口づけされる。 「なんなんだよぉ」  厚い胸板に顔を押し付ければ、わしわしと音をたてて髪を掻きまわされる。 「どうやら俺は、秀次を独占したいみたいだ」  強がらずに頼っておいで。  耳元で呟かれる言葉に、じわじわと熱がこみあげる。 「俺の恋人になってほしい」  総一さんの気持ちは嬉しいし、俺だって好きだ。  だけど、わからねぇよ。 「困らせてしまったようだな」  頬を優しく撫でられ、俺は首を横に振るう。 「あたりまえだろっ、いっぺんにきたんだから」  雪崩のように、一気に崩れ落ちて流されていく、俺は雪に埋もれでもがいている状態なんだ。 「自分のことばかり考えて、気持ちを押し付けてすまない」  そうだよ。でも、総一さんは嫌な一面を知っても、優しくしてくれたし、好きになってくれたんだよな。 「秀次」 「なぁ、いつから俺の事を?」  そういう意味で思っていてくれたんだ、総一さん。 「そうだなぁ、確信したのはつい最近だ。でも、出会ってすぐに秀次の事を気に入っていたから、一目ぼれだったのかもしれないな。男同士だし、深く繋がりあった友達になるとしても、恋愛対象にはならないだろう?」  まぁ、俺だってそう思うよ。恋愛対象は女子だし。 「それならさ、どうして男の俺を好きになったんだよ」 「男だとか、そういうのを抜きにして考えたんだ。俺はさ、秀次の中身の可愛さが好きなんだよ」 「なっ、ぜんぜん可愛くねぇし」  なんだよそれ。俺のどこがだよ。  すげぇダメージをくらって、疲れ切った俺は全体重を総一さんへと預けるようにもたれかかると、そのまま床の上へと倒れ込んだ。 「随分と積極的だな」 「押し倒した訳じゃねぇし」  と身を起こすが、腕を掴まれて再び胸板に顔を押し付ける形となった。  総一さんの胸が、すげぇドキドキしてる。そういう俺のも、まるで感染したかのように高鳴っていた。

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