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告白_06

 放課後のホームルームが終わり、ポケットからスマホを取り出す。  総一さんからラインがきていて、そこには廊下で待つと書かれていた。  まさか、教室まで迎えに来ていたとは思わず、急いで教室を出ると、そこに大柄な目立つ人が立っていた。  しかも総一さんって、知り合いが多いよな。男女問わず声をかけられている。  今も、ここに何故いるかを聞かれていたが、俺に気が付いて、 「秀次」  と俺の名を呼び、手を振った。  修一さんの周りにいた人たちが俺を一斉に見る。  俺まで目立つじゃんかよ。総一さんの腕を掴み、その場を離れた。 「なんだ、手をつないで帰るのか」 「ふざけんなっ。そんなワケねぇだろ」  昇降口まで引っ張り、そして手を振りほどいた。 「教室まで来るなよ」 「別にいいだろう。俺のだと知らしめておこうかと」  は? 何を言っているんだ。 「ばっかじゃねぇの」  知らしめるとか、訳が分からない。総一さんなら解るけど、だいたいさ、誰も俺になんか興味ないぞ。 「好きな子は独占したいんだ」  あぁ、もうっ、いちいちドキッとくるような事をいうよな。  意外とたちがわるいんじゃないか。  頬が熱くなってきて、手で扇いで風を送る。 「少しずつ意識させようかと思って」 「その手にはのらねぇよ」  とは言いつつも、総一さんのペースになりつつある。 「流されてしまいなよ。とろとろになるまで甘やかすぞ」  きっと優しく甘やかせてくれる。総一さんの弾力性のある大胸筋に頬を押し付けて抱擁されるんだ。  俺が女だったら、きっと素直に甘やかされているんだろうな。 「流されねーよ」 「本当は甘えたい癖に、強がっちゃって」  とふざけて返してくる。 「やだよ。その後に、スリーパーホールドをかけるつもりだろ」 「いや、ベアハッグかな」  向かい合わせに相手を腕で締め上げて動けなくする技だ。  ちょっと、俺の自由を奪って何する気だ。 「総一さんの助平」 「あははは、助平って、あたりまえだろ」  さらっと認めた。怖っ、隙をみせたら食われちまう。  自分の身を守るように抱きしめる。 「友達のうちはキス以外しないよ」  いや、友達はキスしません。 「信じられねぇ」 「本当に嫌な時は拒否してくれ」 「わかった。そん時はバックドロップを食らわせてやっからな」  俺が流されなければいいだけだしな。  そして、笑って残念だといいながら俺の頭を撫でる。そう、いつもの通りでいられたらいい。

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