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友情か、それとも恋情か_03
いきなりのことに驚いたか、かたくなっている。それをほぐすように舌を差し入れ、歯列をなぞり、そして絡からめた。
「ん、ふぁ」
俺のキスを気持ち良く感じてくれているようで、それを受け入れ表情をとろけさせる。
吸ったり絡めたりとしていると、目に涙がたまりこぼれ落ちた。
すこし、やりすぎたようだな。
唇を離して、
「意外と泣き虫だな」
そう口にすると、今度は涙の痕にキスをした。
「ビックリしたんだよ」
乱暴な口調になるのは照れからだろう。
俺は小さく笑い、
「そうだよな、驚いたよな」
チュッとリップ音をたて、軽くキスをした。
「なんなんだよぉ」
胸板に顔を押し付ける秀次の、髪をかきまわして撫でる。
「どうやら俺は、秀次を独占したいみたいだ」
誰にも渡さない。
そう耳元で囁くと、見る見るうちに赤くなる。
照れてるな。もっといじめたくなるのをグッとこらえ、
「俺の恋人になってほしい」
と想いを告げれば、秀次は驚き、そして困惑した表情を浮かべた。
そうだよな、友達だと思っていた男に告白されたのだから。
「困らせてしまったようだな」
頬を優しく撫でると、秀次は首を横に振るう。
「あたりまえだろっ、いっぺんにきたんだから」
たしかに。匂いを嗅いで、キスをして、告白をして。息をつく暇もないか。
「自分のことばかり考えて、気持ちを押し付けてすまない」
今更だが、何をしているんだ、俺は。我慢できなくてokを貰う前に手を出した。
余裕のない男だと、引いてしまっただろうか。
「秀次」
「なぁ、いつから俺の事を?」
気持ちが落ち着いたか、いつもの秀次だ。俺を拒否するような言葉を掛けられなくてよかった。
俺はその質問の答えをゆっくりと話し始める。
「そうだなぁ、確信したのはつい最近だ。でも、出会ってすぐに秀次の事を気に入っていたから、一目ぼれだったのかもしれないな。男同士だし、深く繋がりあった友達になるとしても、恋愛対象にはならないだろう?」
「それならさ、どうして男の俺を好きになったんだよ」
「男だとか、そういうのを抜きにして考えたんだ。俺はさ、秀次の中身の可愛さが好きなんだ」
「なっ、ぜんぜん可愛くねぇし」
ムキになっちゃって。しかも、顔が真っ赤だ。
そういうところだよ、俺が言っているのは。
抱きしめたいけれど、また自分の気持ちを押し付けてしまうよな。
我慢したというのに、秀次の方から俺にもたれかかってきて、床に倒れ込む。向こうからしてきたのなら、別にかまわないよな。
「随分と積極的だな」
「押し倒した訳じゃねぇし」
秀次が身を起こそうとするのを、腕を掴み胸板に顔を押し付けるようなかたちで止める。
たまらないな、本当に。
胸の高鳴りは激しく、きっと秀次にばれているだろう。
それでも、俺をそんな風にさせるのは、秀次だけだ。気持ちごと伝染して、俺を好きになればいい。
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