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友情か、それとも恋情か_04
こんな感覚を味わうのは久しぶりだ。
まるで中学の時に、初恋の女子と付き合った時のようだ。あの時も、気持ちがふわふわとしていたな。
「なんかご機嫌だなぁ」
教室に戻り席に着くと、俺の元へ冬弥がきて、自分の口の端を指で持ち上げてみせる。
「え、顔に出てるか」
「口元が緩んでる。何かあった?」
「告白した」
「なんだって!」
驚いて大きな声が出る。クラスメイトが驚いて俺達の方へと向き、
「なんでもない。すまんな」
と手を合わせる。
「冬弥」
「悪い」
俺の首へと腕を回してこそこそと話しだす。
「誰って、聞くまでもないか。田中だろ」
「お、あたり。よくわかったな」
すんなりと当ててしまうあたりは流石だな。普通なら相手は女子だと思うのに、冬弥は同性の恋愛に偏見がないのだろう。
「だって、はじめっから田中は特別だったもの」
「そうだったかな」
「そうだよ。それでも友情の範囲内で収まっていたのに、いつだったかな、『可愛いよなぁ、秀次の奴』とかいってニヤニヤしてたのを見た時は引いたわっ」
キモイわと言われ、それには覚えがなく、無自覚にそうしていたのかと、口元を押さえる。
「そんなことしていたんだ、俺」
「可愛い弟分みたいな感じだったんだろ、総一は。だけど俺からしたら異常な可愛がりぶりだなって」
そうか、言われないと解らないものだな。
「冬弥、俺の事を気持ち悪いと思うか?」
「馬鹿か。好きになった相手が男だっただけだろ。それくらいで気持ち悪いと思うかよ」
相手は俺じゃないしねと笑い、肩に手を置いた。
「変な事を考えるな。俺は友達をやめないからなっ」
「ありがとう」
俺はいい友達をもったものだ。
「それにしても、そんな展開になってるとはな」
とスマホを取り出して何かを打ち込む。
「お前、誰に送った?」
「弟」
冬弥は弟と仲が良く、よくラインを送っている。まさか、俺の事も教えたんじゃないだろうな。
「お前ねぇ」
「あと、田中宛に」
と可愛い動物のキャラクターが、ムフフと笑うスタンプを見せる。
「あ……」
これを見たら俺が話したことがばれるだろうが。
スタンプと同じ表情をしている冬弥に、ため息をついて額に手を置く。
「お前ねぇ」
「あははは、大丈夫だよ。寧ろ、意識しだすんじゃね?」
楽しんでいるな、冬弥の奴。目を細めて口を噤むと、
「ちょっと、そんな顔をしないでよ。でもさ、田中みたいなタイプは、ガンガン押していった方が良いと思う。こっちから何かしないと、友達のままにされるぞ」
それはあり得るな。友達になりたいと言うくらいだ。秀次にとってそのポジョンでいて欲しいと思っているかもしれない。
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