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第3話
「--けろ! --ぎ、大--」
扉の向こうから誰かの叫び声がするが、今は何も考えられない。
ベッドの上に降ろされてからずっと、背中に流れる汗が止まらないし、目の前にいる巽という男から視線が外せなくなっていた。
発情期とは比べものにならない……触れてもいないのに自分で分かってしまうほど頬は火照り、噎せ返る程の不思議な香りのせいで頭はクラクラし呼吸が出来なくなっていた。
俺たちの間にキスなんていう可愛いものは存在せず、本能的になのか離さないとでも言わんばかりに、貪るような形で口付けを交わし続ける。
「ん゛ー、あ゛ぁーっ!」
そのせいで、俺は2人のものが混ざり合った唾液を口いっぱいに含み、赤ん坊のように喚くしかなかった。
「……そろそろ、こっちも欲しくなってきた頃かな?」
潤滑剤なんて使ってもいないのに女の身体の様に濡れた俺の蕾に、巽の指が触れるとピチャピチャと生々しい音がする。
「それ、じゃ……ない」
自然と彼のモノへと伸びる手。触れた瞬間、ダイレクトに硬さと反応を感じる事が出来、コイツも同じ気持ちでいてくれていると思った。
「いいよ……クッ!」
巽は舌なめずりをしながら改めて俺を見下ろすと……一気に奥の方を、自らのもので突き刺した。
更に濃くなる香りと、今までと比べものにならない快楽に、身体がピクピクと痙攣する。
「んんっ……んあっ! もっと……もっと………!」
相手に懇願するのは初めてだ。これが運命の番ってやつなのだろうか?
いつもの様な肉体ではなく、互いの腰骨と腰骨がぶつかりあっているため痛いはずなのに……その痛みすら気持ちがいいものだと感じてしまうのだ。
(あぁ、これが……幸せってやつなのかな?)
彼が出し続ける白濁を受け入れながら、だんだんと遠のく意識の中でそんなことを考える。
「綺麗だ……。お前のこともコレクションのひとつにしてあげるから……早く私の元に堕ちておいで」
だから、頬を撫でられながらそんなことを言われていただなんて、この時の俺はまだ知らなかったんだ。
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