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第6話

久しぶりに懐かしい夢を見た。 あの日、俺の叫び声を聞いた奏多は扉をぶち壊して、数名の警官と共に部屋へと入ってきたらしい。 初めは巽に殴りかかっていた奏多だったが、ヒート状態が続き昂った物を外へ吐き出したく自らの手で自身を上下に擦り上げていた俺を見ると、すぐに俺の側にやってきて優しく抱きしめてくれたそうだ。 そして残りの警官が暴れる巽を取り押さえて、店から連れ出してくれたらしい。 後から聞いた話によれば、巽はあの店のオーナーと幼馴染の関係であり、金を使って違法を繰り返していたそうだ。2人が捕まった後は家宅捜査が行われ、巽の家からは薬を打たれ続け常に発情状態に陥っていた元従業員のΩ達が飼われているのが見つかった。 きっとこれが、巽の言っていた俺が寂しくないようにと用意したオトモダチってやつだったんだろう。 自分のせいで……と何度も自身を恨んだが、そんな彼らは優しい警官達のおかげで、今は以前よりも素敵な……普通の生活に戻りつつある。 この話を後から聞いて一番不思議に思ったのは、なぜあの日、奏多が警察官を引き連れてきたのかって事だ。 俺も後から知った話だが、奏多の父親はαで優秀な警官らしい。βで産まれたものの、そんな父親の背中を見て育った彼は努力で自らも父親と同じ道を辿ったそうだ。 そして、うちのオーナーや巽の悪い噂を耳にした彼らは、奏多に潜入調査を命じこの店のことを調べていたらしい。 「んん〜。……紬、もう起きた……の?」 「あぁ。おはよう」 寝ぼけながら子供のように甘え俺の腰に抱きついてきたのは、ちょうど話の話題になっていた奏多だ。 あの後奏多は、「調査として近づいたのは事実だけど……紬に出会って……一目惚れしたのは偶然だよ」と頬を赤らめながら話した。 初めはその好意を素直に受け入れられなかった俺だったが、奏多の日に日に強くなる押しに負けて……自分の気持ちに素直になって頷くことにしたんだ。 番であるαに一度出会ってしまったのだから、また巽が目の前に現れたら……という恐怖は常につきものである。 それでも今はーー

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