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捜し人 4

「じゃあさ、僕たちと来る?」 「はぁ?」 フランの唐突の提案にアディは驚いて目を見開いた。 「お前バカか? なんでこんなガキ連れてくんだよ? 分かってんのか? 俺らが向かう先を……」 「分かってるよ。 でも、人捜しなら僕らも同じでしょ? じゃあついでにそのミルドって人を捜せばいい。」 そう言うとフランはシュリの方に向き直る。 「僕らも人を捜してるんだ」 「そうなの?」 「うん。だから一緒に捜そうか」 「うん。ありがと」 ずっと張り詰めていた緊張が解けたように表情が柔らかくなった。 大きな目で見つめられ思わずなんていじらしく可愛い子だろうとフランは思い行く宛のないこの子供を不憫に思った。 だが、アディはフランの意見には反対だった。 自分達が捜しているのはただの人ではない。 シュリを連れていくのは足手まといでしかないと考えるも、生憎彼は頑固だ。 こうなっては意地でも自分の意見を曲げない事は分かりきっているからもう諦めて言うことを聞くしかなかった。 「ねぇ、フランは誰を探してるの?」 シュリの質問にフランとアディは顔を見合せ、答えるのを少し躊躇う様子を見せたがフランが口を開いた。 「僕達はある魔導士の男を捜してるんだ。」 魔導士。 それはこの世界に存在する魔法を操る者の事。 自然界のエネルギーを読み取り自らの力に変える。 ただし読み取れるエネルギーは人によって違い水だけや炎だけなど限られている。 更にエネルギーの元が無ければ魔法は使えない。 中には複数読み取れる者もいるが、エネルギーを読み取れない者は魔法を使えず、そもそも魔導士はそう多くはない故に待遇が良い。 「ふーん。その魔導士はどんな人?」 「……名前は、アルキナ・メーヴィス」 アルキナ、そう答えたフランにシュリは驚くべき事を発した。 「アルキナって人知ってる」

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