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闘技場 3

剣闘士を飛び越え観客席へと入り込んでしまったグリムに客は悲鳴を上げながら逃げ惑うが一人が捕まり意図も簡単に噛み千切られてしまった。 「おいおいマジかよっ!!」 警備員らが止めようとするもそれをものともせずに次々に喰らって行く。 そんな中グリムがこちらに向かってくるではないか。 「フラン!!」 「やるしかないか……」 先ずはアディはライターを取り出し火を着け手をかざすと火が増大しまるで蛇が蜷局(とぐろ)を巻くようにアディを包む。 そしてアディはその炎を操りグリムへと放つちその巨体を焼いた。 「やったか?」 ダメージを与えたもののそれでも死なず、こちらに突進してきた。 それをフランとアディは避け、今度はフランが剣を取り出しその剣を風の渦が纏うとそれをグリムに向かって振りかざした。 するとその纏った風は三日月状に刃となり放たれた。 だがグリムはそれを避け、その刃は観客席を破壊した。 「流石グリム。 一筋縄ではいかないか」 体勢を立て直しもう一度剣を向けるとその前にシュリが立ち塞がった。 「ちょ、シュリ!! 何してんの!?」 「グリムを止める……」 人には決してコントロール出来ない猛獣だと言うのにひ弱な子供が何を言っているのだとフランは彼を退かそうとするもシュリはグリムに近づいて行く。 「シュリ!!」 もう駄目だとフランが思わず目を反らした。 そして恐る恐るシュリを見てフランとアディは唖然とした。 だってそこに映ったのは怪我一つしていないシュリと大人しくなったグリムの姿があるのだから。

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