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闘技場 6
シュリが魔法を使えることに驚いた二人は思わず動きを止めてしまった。
「シュリ、君魔法使えたの?」
「うん。魔法も戦い方もウィルに教わった。
だから、あいつらを殺すと言うなら殺せる」
淡々と殺気を含んだその言葉にゾクリと怖気がした。
今までそんな素振りは見せなかった彼が一瞬にして変わった。
そしてその強さは数多く戦いを切り抜けてきたフランはすぐに分かった。
それにこの目は人を殺してきた目だと。
「ダメだよ、殺しちゃ」
「殺さないの?」
「わざわざその手を汚すことないよ。
この雰囲気じゃ他にも魔導士がやって来そうだし、それよりもさっさとここから逃げるよ」
敵の魔導士逹が応援を呼んでいる。
だからフランは面倒な事になる前に早く出ようと言う。
「んで、どうやって逃げるんだ?
あいつら殺る気満々だぜ?」
「……どうしよ」
「ったく、お前はよ……」
この状況を打破するにはどうしたらいいか?
あまり考える時間もない。
考えなしのフランにアディは溜め息を付くと二人に耳打ちしてここを乗り切る作戦を伝えた。
「行くぞ!!」
その合図と共にアディが大きな炎を壁のように起こすとそれを周りに纏うようにシュリとフランが風を送る。
「よし、逃げるよ!!」
相手との間に炎の壁を立てここを離脱する。
「炎の魔法など無駄なことを……」
敵の魔導士が水の魔法で壁を壊そうとするも風がそれを阻み、更にはその風が送る酸素によって炎は消えることなく寧ろ増大していく。
「くそっ!!」
そしてシュリ逹は闘技場を出て森へと逃げ込んだのだった。
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