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グリムの森 1

森へと逃げ込んだ三人は後ろを確認し、追っ手が来ないと分かると足を止めた。 「おいフラン、ここ例のグリムの森だろ。 大丈夫なのかよ?」 「さあ?」 「さあってお前な!!」 「でもシュリがいれば何とかなるんじゃない?」 二人は不安の中でシュリを見つめた。 だが当の本人はキョトンと首を傾げるのみで、それがまた二人の不安を煽る。 するとどこからともなく何かがこちらに近づいてくるのが気配で分かり、フランとアディは身構えた。 「おいおい、これで俺ら死んだらてめぇのせいだぞ」 「え、僕のせい?」 「ったりめぇだろ‼ こんなガキ連れて行くっつったのお前だぞ?」 二人が言い争いをしている間にドシドシと足音を立てながら複数のグリムが姿を現した。 一頭一頭がとても大きく鋭い牙も見え隠れし、なんとも言えない空気感がこの場に漂う。 ただシュリは動じるどころが自ら近づいて行き、あっという間に沢山のグリムに囲まれてしまった。 本来なら死を覚悟するこの場面だが、この様子では心配する必要はなさそうだった。 現にグリムはシュリを襲う様子は見られないし、シュリも楽しそうに戯れていた。 「フラン、やっぱこいつ……」 「……。 シュリ、君に聞きたいことがある」 フランはゆっくりとシュリに近づいて行く。 時折グリムが威嚇してきて冷や汗が流れるが、シュリがそれを制すると皆大人しくなる。 フランがグリムのすぐ傍に近づいても襲ってくる様子はない。 そしてこの確信を口にする。 「君はアンバー家の人間だよね?」

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