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見下ろす*性描写

 これまで散々自分を凌辱してきた男が、自分の下で息を荒げながら表情を歪めている。その光景を上から見下ろす以上に気分の良いものがあるだろうか。 「抵抗しないんだな」  いきり立ったクバルのものを後ろ手に支えながら尻の狭間に押しつけると、手の中の熱塊がびくんと揺れ、ブラッドの濡れた唇の端は自然とつり上がる。 「どうする。入れたいか。それともやめるか」  問いに対してクバルは何も言わない。ただむっつりと唇を引き結び、抑圧された獣欲の炎をかすかに灯した赤い瞳で睨み上げてくる。  ブラッドは鼻を鳴らし、猛った熱い塊に狭間を擦りつけた。血管が硬く浮き上がるほど血液の集まったぺニスは人肌よりずっと熱く、眼下の男がどれだけ興奮しているかがわかる。……もう少しその興奮を味わうのも良い。  自分の手で解した穴に先走りで濡れた切っ先を宛がい、ゆっくりと腰を下ろすと、大きな亀頭がぐぐ、とめり込んでくる。 「ぐ、っ……」  亀頭部をすべて飲み込む前に腰を引くと、ちゅぷ、と小さな水音が立つのが聞こえる。音を鳴らすようにわざと再び腰を落とし、そして引くのを何度か繰り返した。肛門が広がる時の妙な感覚と痛みは何度も経験したいものではないが、敏感な亀頭を中途半端に粘膜に包まれたクバルのぺニスは、快感を期待してさらに先端を潤ませる。  ちゅぷ、ちゅぷ、と音を立てて何度も切っ先だけを挿入し、腰をくねらせて濡れた竿を肉の狭間に擦りつけて愛撫する。それを何度も繰り返すと、クバルの唇からこらえきれず恍惚とした吐息が漏れた。  淫売のような真似などしたくなかったが、それでこの男の切羽詰まった表情を拝めるのなら割に合わない行為ではない。 「おい、どうするんだ」  詰問する自分の声にもかすかな興奮が滲んでいることに気づく。王を手玉に取ることができます。まさにその気分だ。  ずる、と一物を尻に擦りつけると、王はぎゅっと口を噛み締め、瞼を伏せた。ベッドに無造作に投げ出されていた腕がおもむろに動き、大きな手がブラッドの腰に触れた。 「……入れろ」  低く、掠れた声。雄の色香が滲んだ声音は本来ならばブラッドではなく多くの女を惹き付け虜にするものなのだろう。  腰に触れるクバルの手つきに性的なものは感じられず、不本意な懇願のように思えた。溜飲は大いに下がる。ブラッドは笑みを深めた。 「可哀想なくらいガチガチだからな。望み通り入れさせてやるよ」  そそり立った一物を嗤い、ゆっくりと腰を落とした。さすがにその大きさに慣れた太い亀頭を飲み込み、竿の半分ほどまで埋めると、腹の中の圧迫感は増した。普段よりも息苦しく感じるのは異なる体勢と、質量を増したぺニスのせいか。それでも身と心を苛む苦痛が普段の半分もないのは、王を組み敷いているのは自分なのだという優越感からだ。 「ん、っ……、はぁ」  クバルの硬い腹に手をついて身体を支えながら、腰を上げて落とす。太い亀頭が腹の内側をずるずると擦る奇妙な感覚は、いつもの裂くような痛みとは異なる。違和感を無視しながら、抽挿の速度を早めてやるとブラッドの下でクバルが低く呻いた。もともと射精を寸止めされて限界間際だったのだ、狭い粘膜の中でぺニスを擦られて堪ったものではないだろう。  俺が、あのクバルを。冷酷で残虐で、自分を支配していた王を。まるで自分がクバルを犯しているように錯覚する。  この悦楽は図らずも癖になりそうだ。クバルの緩く弧を描く秀麗な眉が歪むのを、声を我慢して奥歯を強く噛み締めるのを見て、王の腹についた掌がじっとりと汗ばむ。 「は、ぁ……、どんな気分だよ、なあ」  片頬を持ち上げながら意地の悪い問いを真下の男に落としてやると、クバルは薄く目を開けて見上げてきた。 「犯してきた男に、乗っかられるのは」 「……っ、ふ」 「俺の務めは夜だけなんだろうが」  ぐい、と腰を回して刺激する。抽挿を繰り返す度に、繋がった箇所からはクバルの先走りでじゅぷじゅぷと淫猥な音が鳴る。  毎日こうして王を慰めるのも悪くないかもしれない。その愉悦を思って乾いた笑いを漏らした時、思いがけず尻たぶをぐっと掴まれた。 「っ……?」  何だ、と思う間もなく、埋まりきっていなかった竿の根本まですべてが、肉の壁を分けてずぶずぶと入ってきた。 「な、ッ……ん!」  じゅぶん、と水音が体内で泡立つ。すべて埋まった王のぺニスが最奥を突いた。  腹筋の力で上体を起こしたクバルの美しい顔が眼前にある。額に浮かんだ細かな滴や、細かく震える黒く濃い睫毛まで見える距離に。  ブラッドの尻を持って支えながら下から穿つクバルの動きに王の余裕は見られない。はぁ、はぁ、と荒く息を吐く唇をブラッドの肩口に埋め、自分の腰の動きに合わせてブラッドの身体を上下に揺する。限界まで追い立てられた獣は容赦なく柔肉を掘削した。 「ま、て……待て、って……、あ、ア!」  自重によって奥まで入ってくる硬い剛直が、ごりごりと肉壁を削る。その感覚はまったく慣れない、経験したことのないものだった。  後ろから乱暴に貫かれ出し入れされた時とは違う、痛みではない何かがぞわぞわと足の裏から這い上がってくる。上擦った声で待て、と繰り返すが、限界が近いクバルの耳には届かない、届いていても聞き入れない。  突き上げる速度が早くなり、淫猥な水音の間隔が狭まる。尻たぶを掴む両手にぐっと力がこもる。一際深く、強く突き上げられ、強張った肩口でクバルが小さく呻きを漏らした。腹の内側をみっちりと埋めていた一物がびくびくと震え、びゅ、びゅ、と不規則に精液が吐き出されるのがわかる。  奥が濡れていく感覚がする。一回り縮んだぺニスと縁の間から、どろりとした液体が零れ出る。その感覚に背筋は震えるが、不快ではなかったことに戸惑う。 「……っ」  ブラッドは自身の身体の変化に初めて気づいて「何で」と掠れた声を漏らした。  白濁をすべて吐き出し終わり、密着していたクバルが上体を離すと、下履きに隠れたブラッドのペニスは確かに頭をもたげ布を押し上げていた。

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