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第11話 ローテーション
今回の話って……あれ?そう言えば台本ってあるのでしょうか。
「あの……これは、どういうお話なんでしょうか?」
香月さんは「え?」と、驚いた声を出しました。
「監督、将生に台本は?渡した?」
監督はゴソゴソの自分の荷物を探ると「ほい、これ」と、皺くちゃになった台本もどきを投げて寄こしました。今!今ですか?
内容は……ありませんよね。知っていました。これは、もらっても、もらわなくても同じですね。
台詞らしいものはなく、誰が今日の相手かとしか書いてありません。細かく書かれているのは、香月さんの設定と、あちらの人間らしからぬサイズの人の設定だけですね。
「じゃあ、二人ローテーションで」
監督は香月さんと、もう一人の巨人さんに声をかけました。ローテーション?どんな意味なんでしょう。
「じゃあ最初は、俺からだね」
俺から……って…やっぱりそうなのですね。二人いる意味はあるのですね。カメラが回り始めると香月さんはいきなりお仕事の顔になり、色っぽいオーラを背負ってやってきました。
優しく体をなぞられ、舐めあげられて声が出てしまいます。
スタッフが温めてくれていたローションが脚の間に垂らされています。カメラがその位置にある事は考えません。考えたくはありません。カメラマンさんもしゃがんで人の股間のぞいて大変ですね。
余計な事を考えました。香月さんって指長いですね。ゆっくりと動く指先を追いかけているだけで違う絵が見えてきそうです。
見上げてうっとりとしていたら、身体の天地入れ替えられて、肩と膝で身体を支える形になってしまいました。ぐっと柔らかい粘膜を押し広げながら香月さんの指が入ってきて、簡単に一番良いところを探し当ててしまいました。
「あぁっ」
え……?今の…誰の声ですか?嘘でしょう?もう終わりました、僕の人生。
目の端に映る巨人さんが、嬉しそうななめ回すようにこちらを見ています。どうしたらいいのでしょう。どうしたら……。あの人の……凶器でしょう。人に受け入れられるサイズには限度があるってものです。
誰かこれも夢言ってください。
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