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第18話 Bon Appetit

   ぐちゅくちゅと音がします。  絡まった舌の立てる音なのか、下の方で掻き回されている方なのか、両方なのか分からなくなりました。より深い快感を求めて自然に腰が揺れてしまいます。自分の身体が自分でコントロール出来ないってどう言う事でしょう。  「あ、気持ちい……」  日本語はわからないだろうと思っていたのですが、ふっと優しく笑われてしまいました。ああ、そう言えば元恋人は日本人でしたね。  もう、どうでもいいです。  きちんと香月さんに教えられた通りに準備してあるから問題はないはずです。早く奥まで埋めてほしいです。  通訳さんがは、にやりと笑うと小声で何か目の前の外国人に近づいて囁きました。  "Bon appetit."  何でしょうね。何といったのでしょうか。  ……もう本当に何でもいいです。  通訳さんが携帯を片手に現場を離れていくのが見えました。え?放置ですか。    僕は大丈夫なのでしょうか。  絶え間なく、囁かれ続けるよくわからない言葉が、だんだん心地よい音楽のように聞こえ始め、頭の芯が痺れ始めました。  好きとか嫌いとか、そう言う感情は身体についた火が燃やし尽くしてくれるでしょう。  気持ちのいい事はみんな誰でも好きなのです。  ああ、この人はキスが上手なのですね。上顎を舌先でくすぐられながら、そんなことを考えていました。  目の端に音声を拾うマイクうつりました。これ……ぬいぐるみみたいに見えてかわいいです。  ゆっくりと目を閉じてると、与えられる刺激に素直に酔ってしまいそうです。  後の事は、後で考えましょう。 ---------------------------- "Bon appetit" [意味: 召し上がれ]

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