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第33話 ハイソックス

 白いハイソックスに憧れたのは中学生の時でした。ふくらはぎの真ん中ほどまであるあの白い靴下を見てドキドキとしていました。  眩しかった、あの日の思い出、淡い日々。残念ながら、今この瞬間に違う思い出に取って代わろうとしています。    自分の恰好は自分では見えません。だから、極力考えないようにしないといけません。  「白い靴下って、ここまで厭らしいものなのかな。裸に白いソックスだけってなんだか、新鮮。将生、ハイソックス脱ぎたい?俺はこのままでもいいかなと……」  「香月さん、それ脱ぎたいです。脱がせてください」  残念な顔をした香月さんが、するりと取り払ってくれました。今、僕は怪しげなスカーフを大切なところに巻きつけただけの姿になりました。  え、あれっ?かえって情けないかもしれません。  香月さんは、来ていたシャツをするりと脱ぎ捨てます。露わになるその身体にドキドキします。あの鎖骨……舐めたいです。  ああ、僕はもう後戻りできない世界にいますね。はい、無理でしょうね。  ギッと音を立ててベッドがしなります。それだけで緊張します。怖くて緊張していた頃とは違います。つい期待して……ん?何を?あれ、これは正常なのでしょうか。  顎をくいっとあげられて深く深く口づけられました。呼吸ができなくて頭がくらくらします。もう何でもいいので早く身体中を埋め尽くして欲しいです。  起き上がり身体をかがめて、膝立ちになっている香月さんの身体の中心を口に含みました。ゆっくりと奥まで咥え込んで、舌を使って丁寧に舐めとると優しい声が聞こえました。  「将生、上手になったよね」  ウイッグの上から頭を軽く押さえてくれる香月さんの手が優しくて、もっと気持ちよくなって欲しくて頑張ってしまいます。褒められると嬉しいです。  「いい子だから、もうそこまでにしておこうね」  香月さんがそっと離れていきました。口寂しいような気持がして、見上げると「どうして、こんなにエロくなったかな」と、嬉しそうに香月さんが笑いました。

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