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第37話 頭痛
結局、どの役が僕か解りません。多分、覗く役なのでしょうね。
実際のセックスのシーンは別撮りらしいです。
「じゃあ、ここから覗いてね」
やっぱり僕でした。でもカメラを覗いて終わりと言う楽な仕事だと思っていたら……
「次は自分で触ってるところ行きます」
「え、自分でって……」
「将生ちゃん、君台本読んだでしょ?はい、始めて!」
「あのカメラに向かってですか?自分1人でですか、無理です。絶対に嫌です。監督、なんだか頭痛がして……」
「んー、そうかあ。齋藤ちゃんにはハードル高いか。んじゃ、下のアップのところは征木ちゃんやってくれるかな」
えっと、マサキちゃんってのがあの先輩で、斎藤ちゃんってのが僕ですよね。わかりづらいったらありゃしない。
「あ、別に良いですよ。将生ってまだまだガキな」
大人だったら人前で出来るんですか?そんなわけないでしょう、常識って顔しないで、ください。おかしいですよ、柾木さん!
「でもなあ、イキ顔は斎藤ちゃんのがいるんだよな」
……どうやって?どうやって撮るんですか。何だか今日はいろいろとフラグが立っています。
「OKです、顔だけ撮りまーす」
ええっ。ど、どうやって?青くなりながら焦っていたら、いきなり下着ごとパンツが引き下ろされ、ぱくっと咥えられました。
恐る恐る……下を見ると、上目遣いの外国さんと目が合いました。
こ、れは、どういう状況なのでしょう、説明してください。
それでも気持ち良いものは、気持ち良いんです。流されます、というよりこの人上手いなと、……思ってしまいます。上手いって何と比較して?あれ?僕はこんな経験ないですよね。
「あふっ」
ああ、変な声が出ています、本当に台本通りかもしれません。
んーっと、眉根が寄ったところでオッケーの声がかかりました。え?……あの外国の方、何か……飲んじゃったんでしょうか、まさかですよね。
あ、ありえないです。やっぱり頭痛は本物かもしれません。
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