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第42話 肺炎
どうやら先ほどの悪寒は本物だったようですね、体がぶるぶると震えてきました。
柾木さん、聞こえてますか?
何か異国の言葉でおっしゃっています、僕をホールドしている外国の方が……。
ただでさえ分からない英語ですが、頭がくらくらとして更に何言われているのか、全くわかりません。
「え?将生、熱あるのか。新しい事を次々覚えて、オーバーフローで知恵熱でも出したんだねえ」
知恵熱ですか……。
二十歳超えて新し世界で覚えることいっぱいで、知恵熱。そんな事あるわけないでしょう。
ああ、気持ち悪い……これ真面目に危ないやつじゃないでしょうか。
どうしたらいいのでしょう、いつも助けてくれる香月さんにはここにはいません。そして目の前の二人も監督も宇宙人です。言葉も何も通じません。
完璧に張り切ってやるつもりでしょうね、止めてくれると言う選択肢はないようです。
このバイト体調悪い時は半端なくきついのですね。いい勉強になりました……。
あれ?そもそも何で俺はこんなバイトする事になったのでしょう。
そんな事を考えていたら、意識がふわんと消えてしまいました。
……ふと目をさますと、白い天井をバックに香月さんが心配して覗き込んでいます。
「すごい熱出して、気絶したんだって?マイコプラズマ肺炎って、大人でもかかるんだね」
監督から連絡をもらって飛んできてくれた香月さん。明後日には退院できるらしいから、体調戻して、元気になったら続きを撮ろうねと言われて悲しくなりました。やっぱり仕事は最後までと言われるのでしょうね。
気絶した時の自分の格好を思い出して、さらに泣きたくなりました。裸でサンドインチの具になりながら、脚開いたまま意識飛んだのでした。
「あの続きって柾木さん……」
「まさか!そんなわけないでしょう、お前は俺の専属だからね」
その言葉に嬉しくなって手を伸ばして香月さんのシャツをぎゅっとつかみました。
「はいっ」そう、元気に返事してしまいました。ん?あれ……ところで僕は何を喜んでいるのでしょうか。
ストーリーまた変更したと言うことですね、台本って何のためにあるのでしょう。
[病気 おしまい]
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