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第45話 前夜祭

 結局、僕を襲いそうなそのゴリラ男と翔太さんが、どっちが先にヤるのかと口論になっている隙を見て逃げ出しました。  結局、着替えられずキャンパス内を女の子の姿で歩き回っている哀しい僕……。  ああっ、指さされてコソコソと、この恰好変ですよね。一番自分が分かっています。  「な、誰あれ?可愛くねえ?」  聞こえてくる声に逃げ出したいけど、僕の服はあの猛獣部屋です。取りになんて戻れません。それに携帯電話もありません。  あ、近藤君!助かった。頼んだらきっと取りに行ってくれるはず。  「近藤君!」  「は、はいっ?ど、どちら様でしょうか?こんな可愛い子忘れるわけないんだけど……」  「……え?」  もしかして近藤君は僕が分からないのでしょうか。困惑していたら赤くなった近藤君がモジモジしながらそっと手を取ってきました。  「ごめんね。本当、どこでお会いましたっけ?」  「いや……いいです」  「待って、ちょっと待って、ねえ!な、名前教えて!」  無理ですよね。ここで大騒ぎされるのは嫌です。無視してその場を離れようとしたら腕を掴まれました。  「ぜ、前夜祭の時っ!ゲートで待ってますから。い、一緒に出てもらえませんかっ?」  「え、無理です!は、離して」  僕が危険な時、きっとヒーローは現れてくれる。むんずと腕をつかんで近藤君から引き離してくれた人……そう、香月…さん…じゃない!!!  ジェフ……でした。  英語で何かしら言っています。わかるのは多分、多分翔太さんを探してるってことくらいです。なぜか助かったという気持ちは微塵もおきてきません。

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