51 / 122

第51話 ポップコーン

   男二人で遊園地ってどうなのかなと思っていたけれど、男性のグループも結構多いですね。  二人っきりが多いかと問われれば、そうでもないですが。  夢の国に登場する大きな耳のキャラクターの帽子をかぶせられました。あの……これ買っていただいてなんですが、赤い水玉のリボン付がいてます。  もしかしなくても、女子用ではありませんか?香月さん……。  「あれ!あのポップコーン食べたかったんだ。ポップコーンなのにキャラメル味ってすごいよね」  子供みたいにはしゃぐ香月さんに嬉しくなります。  「そういえば、この前のジェフ何て言ってたんですか?」  「ああ、別れ話を持ち出されたらしくて。別れたくないと迫ったら、代わりにって将生を差し出されたって。ついやけになって申し訳ないと言われたよ」  ええっ?僕はまたあの人の被害者なのですね?  「あの、征木翔太さんですけど、香月さんと付き合いたいみたいなんですけれど……」  とりあえずは伝えておかないといけません。  「……え、何言ってるの?まさか恋人に他の男斡旋されるとは思わなかったな」  「こっ、恋人ですか??」  「何を驚いて、大きな声出してるの?デートでしょこれ」  そうだったのですね。恋人なのですね……え?  あの……それはいつからなのでしょう。  「あの、恋人って。僕の事でしょうか?」  おずおずと聞いてみると、破壊力マックスの笑顔で微笑まれた。  「そう、将生が俺の恋人」  恥ずかしいけど嬉しいです。  ん?あれ?嬉しいって?何ででしょう。僕は男性が好きだったのでしょうか。初めて知りました。まあ、エッチな事は好きですけれど……あれ?好きなのかな?  「どうしたの一人で百面相して、可愛いね。んー何か将生を食べたくなってきちゃったな。一回ここ抜けよう、その辺のホテルにちょっとチェックインすればいい」  ひ、昼間ですよ。夢の国から違う意味での夢の国に行っちゃいますよ。良いんでしょうか僕の人生ってこんなので。

ともだちにシェアしよう!