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第53話 メリーゴーランド

  「あ、気持ち良いです……」     え、香月さん?何を携帯で撮影しているのですか。  「香月さんっ、何撮ってるんですか?」  「将生の良いとこいつでも見られるようにね。DVDで見ても、他の人とシェアしてるみたいでしょう」  これじゃ、集中できませんっ。うつ伏せならまだしも、今は仰向けで脚は左右に開かれています。  「気にしないで、いつも撮られてるでしょう」  いえいえ、これは状況が違います。カメラはいつも意識の外です。いつも香月さんに集中していればいいのですから。今日はその香月さんが……嫌です。  「将生はこっちに集中しててよ」  体の中で指をぐるりと回されました。腸の内壁がねじれるような引っ張られるような感覚に「ぁあ…あっ」と、声が出ました。  「そう、いい子だね。もっと可愛い顔見せてよ」  見せたくなくても、見られちゃってますよね。  「ど、どこアップで撮ってるんですか」  携帯が香月さんの指が出入りしてするところを映しているようです。  「ん?かわいいところ」  そう言いながらも気持ちの良さに流されて、脚を開いたままの僕ってどうなのでしょう。  ぐちゅっと音がして、頭がクラクラしています。  もういいですね。香月さん喜んでるし、楽しそうに遊んでくれているし。  「ねえ、何のアトラクションが好き?」  今ですか?何で今ですか?この状況だと騎乗ですかね。  ええ、馬で、乗せてください。何考えてるんだろ僕は?もう頭の中はすでに夢の国。  アトラクション……  「メリーゴーランド……」  声に出てしまいました、意味が違います。  「そう?じゃあ後で行こうね」  もう「イこうね」としか聞こえません。

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