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第55話 花火

 わくわくするパレードを見ながら、美味しい食事を好きな人と並んで食べています。  ……え、好きな人って?  もう認めましょう。言い訳できません、僕は香月さんが好きなようです。  でも、香月さんはどう思ってるのでしょう。恋人と言ってくれましたが、正式にお付き合いは、いつ申し込まれましたっけ?  というより、手を握るより先に違うもの握ってましたね。  ああ、なんてことでしょう。  「どうしたの将生?一人で変な顔して?」  「あの、付かぬ事をお伺いしますが、僕は香月さんの彼氏でしょうか、それとも何になるんでしょうか?」  「ん?将生は可愛いから彼女でもいいけど、彼氏でしょ。俺も将生の彼氏でしょう?」  あ、そうですか彼氏同士なのですね。  「あ、将生。見て、綺麗だ。花火もここから見えるんだね」  パレードが終わり、食事をゆっくりとしていたら花火が上がりました。デートで本当に素敵な状況です。  「綺麗ですね……」  僕はなぜか花火より、それを見つめている香月さんの方が綺麗だと思って眺めていました。  「この後どうする?約束の乗り物に乗りに行ってもいいけれど……」  そこで香月さんの携帯がブルブルと震えました。メールをチェックした香月さんが小さく舌打ちしています。  「明日、撮影入れるかって。将生も一緒に……何か嫌な予感がするな」  「あ、はい。僕っていつまでこのバイトしなくちゃいけないのでしょうね」  「え?ああ、辞めたきゃいつでも辞められるよ」  「えええっ?契約違反って……言われましたよね」  「そんな人権蹂躙するような契約なんて存在するはずないでしょう」  笑ってますね香月さん。脅したのは他ならぬあなたですが。じゃあ断っても良いんですね。あれ?でも僕が断ると誰が香月さんの相手するのでしょう……。  あ、考えたら嫌かもしれません。もう完全に僕の人生曲がっちゃったようです。

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