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第56話 スーベニア
食事の後、二人で閉園まで遊びました。
約束のメリーゴーランドにも、ジェットコースターにも乗りました。
子どもみたいにはしゃいで、大きな声で騒ぐ香月さんが意外で本当に可愛かったのです。
「将生、何か買って帰ろう」
香月さんと一緒で本当に楽しい一日でした、お揃いの……というよりカップル用のストラップを買いました。
二つ合わせられる可愛いものを香月さんが選んでくれました。
もちろん僕が、ピンクです。ん?なんでもちろんなんでしょう。
棚には可愛い黄色いクマさんがたくさん並んでいました。それをじっと見ていた香月さんがとんでもない事を言い出しました。
「あの棚に裸の将生を置いたみたいな」
え……?ええっ?今なんと仰いましたか?
可愛いクマさんと並んで裸の僕がいたら、夢の国ならぬ犯罪の国になりますが。
「スーベニアショップで、アダルトグッズは売ってませんから」
そう言うと、香月さんは周りを見回してちょっと考えるような仕草をした。
「ああ、あれなら十分突っ込めそうだよ」
指差す先には光るペンライト的なやつがあります。駄目ですよね。どこで光らせるのでしょうか。というより、それ用途が違います。香月さんも十分に宇宙人ですね。思考がついていけません。
「将生、想像したらなんだかちょっと……」
耳元で何を言ってるんですか、それより何を想像していたのですか。
「ね、ホテルに戻ろう、さすがにあれは買わないからさ」
耳元ってダメですね、もう流されたいです。合意の印としてうなづくと、将生さんが僕の手をとりました。
ここは夢の国です。十分に夢の世界に浸りました。これからは淫夢の世界です。今日も僕はしっかりと自分の道を邁進していきます。
手をつないで帰ります、堕ちるところまで堕ちたらあとは昇天するだけでしょう。
[夢の国 おしまい]
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