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第57話 蝶々
香月さんが嫌な予感がすると言っていた、翌日の撮影でおもちゃを使うと言われました。
おもちゃって……ミニカーとかでしょうか?
ごめんなさい、わからないふりをしました。そのくらいわかっています。
まあ、専用のおもちゃでしょうね。専用の……。
何専用かですか?聞かないでください。心が折れます、結構繊細なんです。
「これって、誰が使うのでしょうか?」
一応確認は必須です。
「ん?将生でしょ?だって俺はそういうのNGだもん」
意思表示はうしっかりとしているのですね、いろいろ緩そうですが。駄目なところは駄目と断るんですね、香月さん。
おもちゃにも、いろんな色のものがあるんですね。確認ですが、これって何がどこにどうするやつでしょうか。
可愛い蝶々もいますよ。ああ、そうですか、乳首に……って!?
「どうしたの齋藤ちゃーん、楽しそうじゃない」
監督、ちゃん付けはやっぱり嫌です。
「な、何の撮影なんですか?」
「メーカーの販促用と資料だってよ。以外と報酬良いし楽しんでね。あ、香月ちゃんと一緒ね」
えーと、確認したくないけれど、確認します。私が一人で何かしらの事に及んで、それを香月さんがお手伝いしてくれるという……。
はい、了解しましたって言えるわけありません。冗談じゃないです。
でも一人で使うのも無理ですよね、こんなもの当然使ったことありません。
あれ、今日はスチールカメラも来てますね。この撮影……結構辛いかもしれません。
「最初はどれにする?あ、この蝶々可愛いね、将生に似合いそう」
楽しそうな香月さんですが、蝶々の似合う大学生男子ってどうなんでしょうね。
嬉々として手に取っているのはやっぱり蝶々型のクリップですか……。
手際よく脱がされていつもの戦争服になりました。そうです、素肌にシャツ一枚です。香月さんのお気に入りですね。
どうして一番隠さなきゃいけないとこさらしてるのに、肩にシャツを掛ける必要があるのかよくわかりません。
「そろそろ始めまーす、最初はスチール撮影から」
始まるようですね、やはり蝶々がトップバッターのようです。
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