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第66話 キッチン

 「ねえ、将生そろそろお腹すいたよね?あれだけ体力も使ったしね」  ええ、その体力使わせたのは紛れもなく香月さんですよ。  「将生、何が食べたい?料理上手なんだよ。自慢させて」  「え、簡単なもので良いですよ」  あっ普通に答えてしまいました。そうではなくて、そろそろ帰りますが正しい答えでしょう。  「クリーム系のパスタとトマト系のパスタどっちがいい?」  「あ、じゃあクリーム系でお願いします」  違う、違う!断らなきゃ、ああもう駄目です。食欲と性欲は似ているそうです。香月さんのあの笑顔、食べちゃいたいくらい好きです。胃袋も下半身も握られてしまっていますから逃げられるはずはありません。  きっと出会った時に既に完敗していましたよね、認めたくはありませんが認めます。僕は一生この人について行くしかないようです。  お父さん、お母さん、ごめんなさい。あなたの息子は戻り道の無い森に迷い込んでしまいました。手際よく料理する香月さんはカフェエプロンをつけていてカッコいいと言ったらありません。料理とキッチンが似合うのはスタイリッシュな男性だけでしょうね。あ、なんだかテーブルの上に料理と一緒に並べられたいと思い始めました。  あの素敵な姿だったら、翔太さんが惚れるのもわかり……いやいや解ってはいけないものでした。あの人はストーカーですよね。   ……ん、あれ?  ……これって僕が敵意の対象になるフラグなのでしょうか。

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