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第68話 バスルーム

 連れて行かれた先は、寝室……あれ?ここは……バスルームですね。ここで眠るのですか!?まさかさすがの香月さんでもそれはないでしょう。違いますよね。もしかしてそうですか?!  「あの……ここは?」  「撮影で使った変なローションまだ身体についたままでしょう?流したいかなって思ってさ」  いえいえ、その変なものを僕の身体中に塗ったのは、香月さん貴方ご自身ですからね。ご存知でしょうか。  「綺麗に洗っておかないと駄目だよね」  ……ですから…汚したのは香月さんですよ。お忘れでしょうか。  「これから毎日一緒にお風呂も入れるね」  え、一緒ですか?お風呂くらい一人で入りたいです。そう言えば、ずっと香月さんとくっついている気がします。  「あの、僕……」  「ん?ああそうか、下着だよね。ちょっと待っていて」  違います!違う!そうじゃないです。確かに新しい下着も必要なのですが、そこではありません。  「はい、これ。新しいやつだから使って」  えっと、このローライズの下着でしょうか。サイズは確かに普通サイズで良いのですが、色が間違っています。紫に金色のラインの下着ってどうなのでしょう。  あ、下着の話ではなくて、そもそも同棲できないと言わなければいけないのでした。  「あの、香月さん。僕がここに住むのは無理だと思うのです」  「大丈夫、家賃も何も要らないよ」  それはありがたいです。……あっ、そこではないです。  何を僕は考えているのでしょうか。金銭的な問題ではありません。しっかりしないともう二度と自分のアパートには帰れないことになります。  「はい、シャンプー流すから目を閉じてね」  話をしていたはずが、いつの間にかバスチェアーに座らされて身体を洗われています。話は終わっていないし、方向性は間違ったままなのにだんだん変な気持ちになってきています。  さわさわと香月さんの指先でいじられ、あちらこちらがまた敏感になります。息が上がってきて、興奮していくのが分かります。  ああ、もうどうにでもしてくださいという気持ちと、このままでは危ないという気持ちとがない交ぜです。不思議な感情に包まれています。  それより、そろそろ寝室に案内してもらわないと駄目なようです。ここの床は硬くて痛そうですよ、香月さん。

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