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第85話 メープルシロップ
「はい、OK!お疲れさまでした」
声掛けられて、我に返りました。あれ、何だか変な感じです。いつもならこんな中途半端に終わる事無いのに……。
「ユズ、見たい?これならって思える写真撮れたぞ」
「あ、これ……俺も欲しい……」
二人して画面を覗き込む姿は本当に素敵です。一卵性ってこんなに似てるんですね。服脱いだら、どっちがどっちなのか見分けがつくのでしょうか。
……あれ?今、僕は同じ服着たらではなくて、裸ならと……あらぬことを先に想像してしまいました。どうした事でしょう。
まあ、それはおいておいて。本当にお二人仲良いんですね。てっきり喧嘩ばかりしているのかと思っていました。
「将生、おいで。見たいでしょう?」
おいでって……まだ服着てませんが。香月さん近寄って来て、赤い布でくるっと包んで抱きあげてくれました。
「ユズ……俺、何だか胸やけしそう。いつもそんなにベタベタなわけ?」
冷ややかにオミさんに言われました。
あ、オミさんは少しクールなんですね。クールな香月さんもかっこいいです。
「おかしいと思ってたんだよね、最近ちっともユズからのお誘いないし……」
「ば、バカッ!余計な事言うなっ!」
ん?お誘い?二人でゲームでもして遊ぶんでしょうか?楽しいですよね、ゲームも。
「せっかく買ったのに使ってないし。あれね、賞味期限あるのよ……どうする?」
「頼むから。今、その話は、止めて」
香月さん?たんだん顔色が悪くなっていますよ?賞味期限?何の話でしょうか……?
僕は聞こえないふりをするのが正解なのか、それとも聞いてみるのが正解なのかが、わかりません。
「だって文句の一つも言いたいでしょう。ユズがオレに隠し事なんて。ねえ、将生君はメープル好き?」
「メープルシロップですか?好きですよ、甘いもの大好きです!」
「だってよ。ユズ、今日三人で試してみる?」
「絶対に嫌だ、将生はシェアしないから」
シェアですか?僕は人間ですから分けっこは無理ですよね???
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