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第87話 塩と砂糖
「兄貴、いい加減にしろよ……将生は兄貴とは付き合わないから」
「ユズには関係ないだろう。そもそも先だとか後だとか、順番制ではないよな恋愛なんて。常に可愛い子ってのは誰かのものって決まっているんだよ。順番待ちしてたら永遠に自分の番なんて来ない」
「でも俺のに手を出すのは双子としてルール違反だ」
「仕方ないじやん、俺達は好みも丸被りなんだから」
「将生帰ろう、これじゃぁ埒が明かない。じゃ、兄貴またな」
「何?いつから俺に対してそんな塩対応になったわけ?」
塩対応?それは何なのでしょう?また食べ物の話なのでしょうか?
「ユズは以前はもっと俺に甘かったよな」
なるほど甘いの逆で、しょっぱい塩対応なのですね。
「甘いのは砂糖だから、砂糖対応なのかな」
独りで小さく呟いたら、香月さんがぷっと吹き出しました。
「将生、やっぱり天然だなそれ可愛い。砂糖対応なんて言葉は無いからね」
そう言って今日一番の微笑みでこっちを見てます。あ、いえ、別に笑っていただければそれで光栄です。でも天然って褒め言葉でしたか?
いい加減、裸はまずいです。先ほどからそのことの方が気になっていました。仕事はもう終わり......あれ?何かを忘れている気がします。
今日はもともとカレンダーの撮影で呼ばれたわけではなかった気がしています。
「あ、パッケージ」
思い出しました、カレンダーはおまけでした。
「あ、そうだった!」
オミさんも大切な仕事を思い出したようです。
「何?これからまた撮るの?さっきの写真の中から使えそうなの選べは良いだろう」
不服そうな香月さんをオミさんが睨んでいます。ああ、仕事の時の香月さんの顔と同じです。
「いい加減な仕事はしない、お前もプロならわかるだろう。とりあえずユズはスタジオから出てもらおうか」
えっ?さっきまでは一緒でしたよね。香月さんが出ていったら僕はオミさんと二人っきりですよ。多少不安は残りますが、プロと言うその台詞信じてみましょう。
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