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第96話 ローライズボクサー

  「香月さん!僕が昨日着ていた服ってどこにありますか?今朝、乾燥機に入ってましたよね?」  「ああ、あの暗い色の服ね...…捨てようかと思ってたやつだろ」  「ダメです。あれを、あれ全部もってきてください!そもそも香月さんにもらった服は、全部お醤油色ですから。あの服よりもう色彩暗いですから」  「え、俺がとってくるの?」  いえ、いえ自分で取りにいけるような格好なら、とっくに帰っていますよね。  「でもなぁ……こんな可愛い格好の将生をここに置いておくのは心配」  「隣なんですから、一分くらいでしょう。大丈夫です!早く行ってきてください」  急いで香月さんに洋服を取りに行ってもらいました。香月さんが出てすぐにオミさんが、下着を手に戻ってきました。  「仕方ないから、このローライズあげるよ」  普通の下着もあるんじゃないですか。最初になぜそれを寄越してくれないのか理解できません。  でも、もう香月さん取りに行ってくれたので、それも不要かもしれませんが。  「これ俺のボクサーなんだよね、それを将生にあげるんだよ。だ・か・ら、代わりに、その代わりにねっ」  え?その代わりに?ってなんでしょう。  「俺が履かせる、それでどう?じっとしててね」  え、今、何とおっしゃいました?おかしいでしょう。その発想。どうしてそこにたどり着くのか理解できません。  …...ピンポーンとインターフォンの音がします。あ、帰ってきてくれたのですね。  「だ、大丈夫です。今、香月さん服取りに戻ってくれましたし」  「あ?ユズ?入って来られないよ。だって、俺鍵かけたもん」  ドンドンと、ドアを叩く音がします。え?鍵かけたって、どうしてですか?  「ね?着替えのお手伝いでちゃらでいいでしょ?」  ドンドンドンと、何度もドアを叩く音がします。  「兄貴、オミっ!開けろ!開けろって、将生返せ!」  着替えのお手伝いって、僕は幼稚園児でしょうか。昨今幼稚園児でも自分の下着くらい自分で履き替えられるはずです。と言うことは、それ以下……。  「いや、本当に自分で。というより、もうこのままでいいですから。スキニー貸してください」  「あ、あのスキニーパンツもそのTシャツも俺のだよね?だから、下着の着替えを手伝わせて。どう?」  どうしても着替えにこだわるらしいですね。と言うよりまさか脱がせたいだけてすか?まさか……。  じりじりと近寄って来るオミさん……かなり怖いですっ!

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