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第110話 ブロウジョブ
「将生、水飲んで。はいこれ」
「ありがとうございます」
渡されたグラスの水を飲むと、少しほっとしましたた。お酒だったのですね、気をつけなければいけません。
「将生、俺がいないところで飲むのはもう一切禁止」
「一切って、そんな」
「へえ、解らないんだ?」
「......」
「自覚はあるんだね」
ああ、香月さんの目が嬉しそうです。嫌な予感は的中したようです。それより本当に僕は嫌なのでしょうか。
世の中のスタンダードが解らなくなってきました。香月さんは楽しそうに生クリームの入った小さいショットグラスを用意しています。
「もう少し飲む?」
「え?」
「今は俺がいるからいいの。これブロウジョブっていうカクテル」
ブロウジョブ?耳慣れない言葉です。ああ、思い出しましたが、僕はお酒のことは全く知りませんでした。
手を伸ばしてグラスを取ろうとすると、後ろからいきなり腕を掴まれました。そして両手を後ろ手にまとめられました。
「え?」
「ブロウジョブって言ったでしょう?手は使っちゃだめだから。口を直接グラスに持っていって」
えっと、口を近づけて?どうやって飲むのでしょう。すするとかですか?でも生クリームが浮いてるし無理じゃないかと思うのですが。
「そう、それからグラスの端を口に咥えて上を向いて一気に飲む」
グラスを直接口で咥えるのですね。上を向くと口の端からカクテルが零れて顎を伝って体へと流れて行きます。
首を伝うその液体を香月さんに舐めあげられて、びくりと身体か震えました。
「エロいなあ」
丁寧に舐めあげられて、咥えているショットグラスがふるふると震えています。
なんでしょう、褒め言葉ではないはずですが不快ではありません。
「将生、本当に可愛いね」
身体中に雨のようにキスが降ってきます。それって褒め言葉ですねやっぱり。幸せなのでしょうか?うん、幸せかもしれません。
空になったグラスを手に取りました。そのグラスの底には混ざりあったベイリーズとウオッカが生クリームを纏っていました。
シーツに包まれた香月さんと僕みたいですね。あれ、僕はやっぱり香月さんのいない明日は考えたことがないようです。グラスをじっと見つめていたら、色を帯びた香月さんがまた口付けてきました。口の中を丁寧に味わうように口づけられました。
「ん……っ」
上顎を舌先でくすぐられて声が漏れます。口の中が性感帯だと知ったのは最近のことです。
「将生、ちゃんとしたブロウジョブを教えてあげるよ」
そう言うと香月さんは僕の身体をゆっくりと倒し、僕自身を優しく口に含んでくれました。
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★ブロウジョブ(いわゆる口淫です)
本当にあるカクテルですが頼む時に名前を言うのが少し恥ずかしいというカクテルです。
海外ではパーティなどで、ふざけて頼む事が多いですね。飲み方も盛り上がりますし。
アルコール度数は決して低くないです。
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