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第119話 また会いましょう
勧められてソファに座るとなぜか隣に真理さんが座りました。そして嬉しそうに僕の頭を撫でています……本当に犬に似ているのでしょうね。。
「真理、あんまり触るな!」
香月さんに叱られて真理さんは寂しそうに離れていきました。なぜか意地悪をしているような気分になりました。
「いやあ、会いたかったよ将生君。君があまりにも可愛くて、臣と柚が取り合いしたって聞いたよ」
お父さん……どこまでご存知なのでしょうか。ははは……と、乾いた笑いしかでません。
「あ、それと俺、将生と結婚するから」
「そう?よかったわ、本当に心配していたのよ、私たち」
いえいえ、違うことを心配してください。日本の法律では男同士では結婚できません。
「今度の休みには、将生のご両親にもきちんと挨拶してくるから。これを機に本格的に親父の仕事も手伝うよ」
「まあ、本当?よかったわ、すべて将生君のおかげね」
そうじゃないです真理さん。そこじゃないです。
僕は……ジョンでも女性でもありません。
香月さんのお父さんは会社の社長さんだとか。臣人さんはカメラを今後も仕事にしたいとのことなので、跡を継ぐのは香月さんになるのですね。
昼食にはどこかのシェフがやってきて、創作フレンチというのを作ってくれました。こういうの僕の実家じゃありえません。生活のレベルが違いすぎます。
リビングのテレビだって、実家のテレビ四台分のサイズです。すごいなあと思いながら眺めていたら……あ……あれ…、なんだか見覚えのある、見たくないパッケージが見えます。
あれはまさか香月さんと俺の出演しているDVDですか?ま、まさかですよね。
「あの……香月さん?つかぬことをお伺いしますが、お父さまの会社って……」
「ああ、DVDやオモチャの販売が一番のメインかな」
玩具メーカーって子供に夢を売る方じゃないですね。大人に夜を売る会社ですね。そして、僕は既にご両親にとんでもない姿で挨拶済みだったのですね。
「将生君、柚人をよろしくお願いしますね」
真理さんに頭をさげられて、僕は両親公認の恋人になったようです。
……そして1週間後の今日、とんでもない事になっています。
「まあ、そうなんですか?よろしくお願いしますね。この子は昔から抜けたところがあって心配で仕方なかったんです。こんなにしっかりした方が面倒見てくださるなら安心です」
えっと……母さん、本当に解っていますか?そんなにあっさりと……
「お任せ下さい、一生大切にします」
「女房がいいと言うなら大丈夫でしょう、よろしくお願いします」
え?父さんまで?簡単に認めていますが。これって両家公認ってことでしょうか?
やっぱり僕の人生の一番の当たりくじは香月さんだったのかも知れません。もうそれでもいいと思えてきました。
これからもよろしくお願いしますね。
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今まで将生の物語にお付き合いいただいた皆様。本当にありがとうございました。
この話は一旦ここで筆を置きますが、このままあの二人が黙っているとは思えません。
柾木翔太と香月臣人……ですね。それでも将生達は乗り越えて行くとは信じています。
お騒がせな二人が動き出すまで、しばしそっとしておいてあげて下さい。
「では、またいつかどこかでお会いしましょう」柚人&将生より
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