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One(3)★

 さてとと言いながらユーリがチェリオに向き直る。 「な、なんだよ」  もしかしてサシャによからぬ情を向けていたことがバレたのだろうかと怯むチェリオをよそに、ユーリが近づいてくる。 「さっきから気になってたんだよなァ」  くふんと色っぽく笑いながらユーリがベッドに腰を下ろす。どきんと胸が高鳴った。さっきの心地よい香りの正体はユーリだったらしい。意識した途端に張り詰めていた股間が更に熱くなった。着古した布地は高ぶりを押さえきれず、薄い布団越しにはっきりと形を現している。  布団を剥がれ、チェリオは思わず後ずさった。後頭部を強かに壁に打ち付けたのを笑いながら、ユーリの指が股間に触れた。指先でさらりと撫でられ、腰がずんと熱くなった。ごくりと生唾を飲み込む。どこどこと鼓動が聞こえそうなほどうるさい。顔が熱い。 「ツラいだろ」  色香を含んだ表情でユーリが言った。息がかかりそうなほど顔を近づけられる。かすかに水音がした。ユーリのリップ音だと分かっているのに、チェリオのそこはひと際大きくなり、張り詰めた登頂にじわりとシミを作る。ユーリがくっくっと喉の奥で笑った。 「若いなァ。抱かれる側じゃなくて抱く側も経験あんだろ?」 「あ、るっ、けどぉっ」  ふっと登頂に息を吹きかけられて、チェリオは声を上ずらせた。じれったい。 「どうしてほしい?」  この男は自分の顔の良さを分かっている。腹の底から苛立ちを覚えたが、わざとらしく首を斜めに傾けて片眉をついと持ち上げるしぐさから目が離せない。全身から香るユーリの色気に興奮が先走った。  ここまで煽られて引き下がるようなたまではない。チェリオはユーリの顎を掴んで少し顔を上げさせた。 「舐めろよ」  言いながらハリのある褐色の肌を親指で撫でた。ユーリの手がすいとチェリオの高ぶりを撫でた。じらすように指が這い、ファスナーの持ち手に指がかかる。軽い金属音。もったいぶるようにゆっくりとそれがおろされる。本来ならスムースに降りていくはずのそれは、チェリオの高ぶりのせいでいびつになっている。高ぶったそこを抜けるとき、チェリオが息を荒らげて腰を引いた。ユーリが満足げに声を押し殺して笑う。 「くっそ、悪趣味なっ」 「そのほうが興奮すんだろ?」  開ききったファスナーから着古した下着がのぞく。盛り上がった中心は色が変わり亀頭の形が分かるほど張り付いている。それを目にしたユーリの切れ長の目が弧を描いた。下着のゴムの部分に指がかかり、ユーリがゆっくりとそれを引きながら下ろす。下着の中で窮屈に抑え込まれていたチェリオのペニスがぶるんと飛び出てきた。勢いでユーリの形の良い唇と鼻先にあたる。想像以上にやわらかな唇に触れた途端、チェリオの先端からどろりと先走りがあふれた。 「はは、素直だな」  細身の体には見合わないほど反り立ったペニスを鑑賞するかのように眺められている。とくとくと脈打つのすらわかるほど勃起しているペニスに息がかかるたびにびくびくと跳ねる。くっと息を詰めるチェリオの先端に柔らかく暖かいものが触れた。ユーリの唇だ。ちゅっと音を立てられる。ちろりと赤い舌が覗いたかと思うと、先端をくすぐるように舐められた。 「うぐっ」  絞り出すような声が上がると同時に、びゅるっと白濁が飛びでた。ユーリの褐色の肌を濡らす。ほんのりと赤く色づいた褐色に粘着質な白が滑る。その背徳的な光景に、チェリオは大げさなほど喉を鳴らした。  ぷっとユーリが吹き出した。一度射精したにもかかわらずまだ硬度を保っているペニスを前にユーリがクックッと笑う。声を押し殺している様が扇情的だ。意図せず硬度が増す。それを見てユーリは満足そうに笑みを深めた。 「俺の経験も捨てたもんじゃねえなァ」  ユーリが楽しそうに肩を揺らす。冗談に付き合っていられるような状況ではない。ユーリを押し倒そうとしたが、逆にペニスを根本からギュッと握り込まれてしまった。うぐっと喉が詰まったような声が上がる。 「続き、して欲しい?」  少し頭を斜めに傾けて、色を孕んだ表情と声色で。さっきまでのからりとした雰囲気はどこに行ったのかと思うほどに淫蕩な雰囲気を醸し出している。 「っの、クソ野郎っ。して欲しいに決まってんだろ」  チェリオが声を荒らげると、ユーリはふふんと笑って躊躇いなくチェリオのペニスを扱き始めた。 「うわっ、ちょっ!?」 「オレイっておっさんを捜してるんだが、心当たりはないか?」  チェリオは突然与えられた快感に身を捩りながら首を横に振った。 「そのおっさんに、なんの用だよ?」 「2,3用立てをしてもらいたいことがあるんだ。取り次いでくれたら相応の謝礼はする」 「じゃ、じゃあっ、ちゃんとイかせてくれよっ」  チェリオの言葉を肯定と受け取ったらしく、ユーリは指で口元に輪を作りべっと舌の先をのぞかせる。チェリオ自身も相手を煽るためにわざとやって見せるが、あけすけでためらいのない、いかにも淫蕩そうなそのしぐさは、チェリオの興奮をより色濃くした。  チェリオは自ら腰を前に出して、指の輪の中へとペニスを押し込む。ぷちゅんと唇に亀頭が触れる。うめき声と共に細い腰が大きく震えた。締め付ける指の輪の中で、ペニス自体が意思を持っているかのように脈打っている。ユーリの舌が、はっきりと凹凸のある亀頭と裏筋にねっとりと触れた。熱い。 「やべえ、きもちいいっ」  ユーリの吐息に交じって、ぷちゅぷちゅと水音が上がる。威勢のいい態度のわりに上品な音を出す。えげつないほどエロい音を立てて舐めるのかと思っていたから意外だった。自分のペニスをイル・セーラが舐めている。その背徳感だけで達しそうなほど興奮する。  亀頭の先端からカリ首までを形を絵取るように舌先で舐められる。何度かその動きを繰り返した後で、張ったカリ首までをユーリの唇が含む。遠慮がちに、いや、わざと煽るかのように少しだけ前後する動きがもどかしく、チェリオが控えめに腰を前後させてユーリのいいところを探るようにくちびるを暴いた。水音を絡ませながら奥へ、奥へとペニスを進める。ユーリもまたそれを受け入れるかのように口を開き、ペニスを咥えこむ。色づいた吐息と共に鼻で呼吸をする熱が腹にあたる。 「んっ、ん、ふっ」  漏れ出る声すら色を孕み、チェリオは鼓膜すら性感帯になったのではないかと思うほど興奮した。空いた手で耳を塞ぎ、もう片方の手で丁寧にハーフアップに結わえられたユーリの髪を掴む。 「もっと下品な音出せよ、猫みたいに先ばっか舐めてんじゃねえぞ」  ユーリの髪を掴んで無理やり頭を前後させる。やや乱暴に腰を穿つ。ユーリの甘い吐息に下品に爆ぜる粘着質な音が混じる。抵抗すればいいものを、ユーリはその行為を受け入れていた。泥を踏むような鈍く重い音と、ユーリの苦しげでいて甘さの残る吐息、そしてチェリオの快楽にうめくような声が部屋を支配する。 「あー、やべっ。いきそっ」  きつく目を閉じ、ふうふうと息を荒らげながら顎を上げる。気持ちが良すぎて唾液が一筋ひくのも構わずに腰を前後させた。前後するたびに揺れていた双球が少し汗ばんだ指先にとらわれる。ずっしりと重く張ったそれを弄ぶように揉まれた。何度も、何度も、射精を促すようにコリコリと優しく触れられ、チェリオが唸った。 「ちょっ、それっ、玉っ」  ふふっとユーリが笑う。同時にチェリオの根元をこするユーリの手の動きが激しくなる。 「っくそ、まって、ってぇ!」  ユーリの髪を無理やり引っ張って、弄ばれるペニスを解放しようとした。じゅるじゅるといやらしい音を立てて吸われ、チェリオは声をひっくり返しながらあっけなく果てた。  顎と挙げたままふうふうと息を弾ませる。腰が熱い。じんわりと足の指先まで甘いしびれにとらわれている。ユーリはチェリオの足の間からゆっくりと顔を上げた。褐色の肌は少し上気して汗ばみ、より色っぽさを増している。ユーリの口元は含み切れなかった唾液と、さきほどチェリオが放った精液で濡れていた。どくんと心臓が高鳴った。あまりに淫靡だ。  放心していたチェリオに、ユーリがんーんーとなにかを伝える。頭まで痺れているんじゃないかと思うほど、理解ができない。 「は、なに?」 「紙よこせ」  少し上を向いて、ユーリが言う。はっきりとは聞こえなかったが、ユーリがそういったことに気づいて、チェリオは慌ててサイトテーブルに置かれていた紙を数枚手渡した。ユーリはそれを乱暴に受け取ると、口の中の精液をべっと吐き出した。 「やべ、ちょっと飲んだ」  チェリオの顔が一層赤くなる。手の甲で口元をぬぐった後、ユーリははたと気づいたようにチェリオを見た。 「マジでわっかいなァ。もう復活してんじゃねえか」  チェリオが否定するよりも早く、ユーリがチェリオの足の間に寝転がった。射精したばかりのペニスを握りこまれ、チェリオがひっと情けない声を漏らす。 「おまえ、エロすぎっ」 「まあ、ハイブリッドを原液で……だもんなァ。あと何回か出したほうが早いか」  チェリオのペニスを扱きながらユーリが言う。くちゅくちゅと水音が上がる。達したばかりだというのにチェリオのペニスは既に固く、先端からとぷとぷと残渣を滴らせる。 「んっ、ちょっとっ」 「体の割にはでけぇよなァ」  チェリオの腿に頭を預けるような姿勢になり、ユーリが言う。そびえたつそれを斜め下から見上げるような恰好のまま、二人の視線が合う。ユーリの口から赤い舌がちろりとのぞいた。 「ここがスラムじゃなきゃ、後ろ使わせてやったのに。惜しいなァ」  チェリオのペニスをリズミカルに扱きながら、ユーリ。射精を促すというよりはどうしようかと思案しているかのような動きだ。 「う、後ろって……」  チェリオはただユーリのセリフを反芻しただけだったが、ユーリはきゅうっと目を細めて、挑発するかのように自らの尻をするりと撫で上げた。 「イル・セーラの身体、興味あんだろ?」  言って、チェリオのペニスの根元に顔を寄せる。どくどくと脈打つ血管に沿って舌を這わす隠微な姿に喉が鳴った。地下街の娼館にすらこんなに色香を孕む女はいなかった。法律的にはアウトだが、これはユーリ自身が誘っている。チェリオは少し硬さのある短いブラウンの髪の中に指を突っ込んでガシガシとかきむしった。 「銀髪のイル・セーラは雌雄同体だから高値で取引されていたって、マジなのか?」  真剣な面持ちでチェリオが問う。ユーリは一瞬間きょとんとしたが、聞かれている意味を理解したのか吹き出した。あははと声をあげて笑う。 「確かめてみるか?」  ユーリがデザイン性の高いメッシュベルトのバックルを寛げる。引き締まった腹がちらりと覗く。チェリオは大袈裟な音を立ててつばを飲み込んだ。 「おまえなあっ」  どうする? とばかりにユーリが笑う。こんなチャンスは二度とないだろう。けれど命の恩人に嘘はつきたくない。チェリオは腹の奥から湧き上がる情欲をぐっとこらえ、ユーリの腕を掴んだ。 「オレイに取り次ぐことはできなくない。けど、用立てを頼むのはもう無理だ。墓の中だからな」  煽るようにくちゅくちゅと音を立てられる中、冷静にユーリに告げる。ユーリは「ふうん」と挑戦的な笑みを深めてチェリオ自身を咥えた。 「っ、ぐっ、ううっ」  先端をちゅっと吸われたかと思うと口をすぼめながらペニスを抜かれる。ちゅぽんと淫蕩な音が上がった。 「じゃあ、オレイの後継者に取り次いでほしい」  「知ってるよな?」と言いながら、ユーリがチェリオの先端を指であやすようにいじくる。チェリオは唇をかんでふうふうと興奮に息を弾ませながら髪を掻きむしった。 「サシャがいる前じゃこういう情報収集ができなくてさァ」  息を弾ませるチェリオとは異なる余裕すら携えたユーリは、ちゅくちゅくと粘着質な音を立ててチェリオのペニスを扱いたかと思うと、またもためらいなくそれをほおばった。 「っ、あっ、く、くっそっ」  チェリオは上を向いたまま両手で顔を覆って、ユーリの舌の動きに耐えるように歯を食いしばる。亀頭と竿のくぼみに舌が絡み輪郭を絵取るように舐められ、チェリオの先端と口から渇望のしずくが滴った。チェリオを煽るかのように水音が大きくなるのに合わせ、衣擦れの音とかすかな金属音がする。顔を覆っていた手を外し、ユーリを見る。ユーリはメッシュベルトを寛げてすぐにでもデニムを脱げる状態になっていた。シャツの裾からのぞく、男にしては妖艶でくびれのある腹部がチェリオの理性をかき乱す。 「あっ、あーっ、くそっ、まじでっ」  イキそうと情けない声を漏らすチェリオを笑って、ユーリはまるで誘うようにデニムを少しずらして見せた。 「なァ、どうする? めったとないチャンスだ」  ふうとペニスに息を吹きかけられ、チェリオはスラングを吐き捨ててユーリの身体を勢いよくベッドに押し倒した。簡素なベッドが悲鳴を上げる。ユーリは一瞬間驚いたように目を見開いたが、すぐに目を細めてチェリオの首元に顔を寄せた。 「オレイの後継者、チェリオ――だっけ?」  言われて、チェリオは心臓が飛び出そうなほど驚いたが、ポーカーフェイスを崩さなかった。瞳孔で悟られたかもしれないと感じたが、チェリオは敢えてユーリの言葉には答えない。オレイの後継者が自分だと知っているということは、誰かがそれをユーリに話した以外にあり得ない。情報屋のネイロか、それとも長老のハロじいちゃんか。どちらにしてもユーリの世話になっているし、疑り深い一方で人を見る目だけはある。  ユーリのデニムを引っ掴んだ。ユーリが少し肩を竦め、目じりを下げた。誘うように少しだけ身体をよじって腰を上げる。チェリオはごくりと喉を鳴らしてすでに寛げられているトップボタンをかき分けてデニムのファスナーを下ろす。先を促すようにユーリがチェリオのペニスを手で扱いた。 「っ、なにが望みなんだよ?」  ユーリのデニムを腿あたりまで脱がしながら、チェリオ。自ら腰を上げて先を促すユーリは淫蕩な雰囲気をそのままに、チェリオの亀頭を指で押しつぶすように触る。チェリオは詰まったような息を吐き、ユーリの張りのある締まった尻を撫でた。男の身体だというのにむっちりとしていてやわらかい。直接触ればよりその質感が堪能できそうだ。チェリオは背骨から仙骨までを指でなぞるように下着のなかに手を差し込んだ。  なだらかな肌はしっとりと指に吸い付くように柔らかいが、骨ばった感触が指先に触れる。柔らかさを確かめるように指を進め、尾てい骨のあたりで手を止めた。くすぐるようにそこを撫でると、ユーリが艶めかしい視線を向けてきた。収監されてもいい。ヤリたい。 「取り次いでやるから、言えよっ」  切羽詰まったようにチェリオが声を荒らげる。ユーリはチェリオが自身の下着とデニムをずりおろそうとするのに腰を上げて協力すると、どこか勝ち誇ったように目を細めた。 「地下街か東側のスラムを介して、南側のスラムに行く方法があるだろう? それを教えてほしい」  チェリオは目を見張った。通常なら西側のスラムを経由し、それから南側のスラムに行けるようになっている。北側からは南側には行けない。南側に収容されているのがイル・セーラだからだ。夜な夜な警備を掻い潜って北側の色狂いの連中やコーサの下っ端どもが南側に赴き、乱交パーティーに耽るのを防ぐためだ。当然東側からもいけるわけがない。いけるわけがないが、――。  心当たりがないこともない。地下街出身者、そしてディエチ地区出身者だけが使う秘密の地下通路がある。そのどこかが南側に通じていてもおかしくはないのだ。ただ現時点ではわからない。確定していないものを分かったというふりをして襲ってしまっても、誘ったのはこいつだ。罪には問われない。ただ自分には遺恨が残る。そうは思うものの、ここまで来て情報を持っていないならヤラせないなどと言われたら、一生夢に見そうだ。  「わかった、情報屋に言って探らせる」と一息に言う。ユーリは「交渉成立」と、いまから行われる淫蕩な行為とは真逆の、からりとした声で言って、腰を浮かせた。ユーリの下着をずらし、デニムと共にやや乱暴に脱がしてベッド上に投げ捨てる。  チェリオは期待に胸を膨らませながらユーリの細い足を持ち上げた。そこには明らかに男性器しかない。チェリオはユーリの足をさらに持ち上げて肩に担ぎ、まじまじとそこを観察する。あまりに凝視した成果、ふはっとユーリが笑った。 「雌雄同体なんて無脊椎動物かよ」  くっくっとユーリが笑うのに合わせて尻が締まるのをみて、チェリオが喉を鳴らす。 「満月の夜になると出てくるとか?」  言ってチェリオがユーリの会陰を指でなぞる。んっと艶めかしい声が上がった。 「俺は狼男かなにかか?」  「単に珍しいから高値で取引されていただけだろ」とユーリが笑う。チェリオは「そうかよ」とぶっきらぼうに言いながらユーリの会陰とあきらかに行為に慣れている秘部を指でなぞった。 「娼婦よりイイって、おっさんたちが口々に言っていたな」  言いながらユーリの秘部を指でこじ開ける。ユーリは煽るように尻を開いて見せ、婀娜めいた表情でチェリオを誘う。チェリオは無言のまま、好奇心でユーリの秘部に指を差し入れた。締まりがよく、ペニスを入れたらふわふわと締め付けられてすぐにでも果てそうだと想像する。それだけでゆるりと立ち上がるペニスを片手に扱きながらユーリの秘部を弄ぶ。 「んっ、ん……、ふっ。ねえ、あやされてんの?」 「うるせえ。入れたらイキそうなんだよ」  ユーリの中を犯す指を増やし、滑りを良くするためにつばを垂らす。指でこじ開けたくぼみにとろりと溶け落ちていくようにも見える光景に、チェリオが大袈裟なほど喉を鳴らす。 「あーもーっ、マジでなんなんだよっ」  チェリオはふつふつとこみ上げてくる正体不明の怒りを吐き出した。いまならステフの気持ちがわからないでもない。もし自分がもっと年上で、もっと金持ちだったら、ユーリを囲えていたかもしれない。いや、それ以前にユーリを自分だけのものにできていたかもしれない。得体のしれない独占欲はチェリオの腹の中で膨らみ、秘部を犯すだけでペニスを屹立させる。 「っ、う、んっ」  くちゅくちゅと濡れた音を立てて指を埋め、自分も触れられると気持ちのいい箇所を探る。指を根元まで差し込んで腹側を軽く押さえると、ユーリの腰が動いた。気持ちよさそうに眉を顰めて色っぽい吐息を漏らす。もう一度そこを押すと今度はきゅうっと指を締め付けられた。 「んっ、っ。すぐいれればいいのに」  震える声でユーリが言う。チェリオはムッとしたような表情でユーリの腹を押した。 「俺だって伊達に売りやってねえ。すぐ突っ込まれたってヨかねえだろ」  ユーリの快感を高めるために秘部をほぐすことに集中する。これだけほぐれていればすぐに突っ込んでもよさそうだなと本能が言っているが、それではエクスタシーを感じるまでに至らない。入れるほうも、入れられるほうも気持ちよく。それがチェリオが売りをやるうえでモットーにしている。抱かれる側も抱く側も経験しているチェリオだからこその発想だ。  ユーリの秘部をほぐす指を増やす。三本いれても余裕だ。はっはっと短く喘ぐたびに薄い腹がうごめき感じているのが見て取れる。少し膨らんできたユーリのいいところを指で挟むようにして揺らすと、ユーリが口元を押さえてびくんと震えた。何度も小刻みに震えるたびにきゅうきゅうと後ろがチェリオの指を締め付けてくる。 「はっ、ぁ、あっ、はあっ」  切なげな声で喘ぎ、小刻みに痙攣するのは甘くイっている証拠だ。ユーリの抱かれる側にしてはもったいないほどのペニスからはなにも出ていないが、腹の上には愛液が飛散している。チェリオはユーリが甘い声を嚙み殺せない場所を的確に揉みこんで、もう一度ユーリをイかせようとした。  ユーリの背中が、腰が競りあがる。 「んっ、んんぅっ、うっ」  びくんと身体を撥ねさせたあとで、ユーリはまるで快感に浸るかのように体をせぐくまらせてびくびくと痙攣を繰り返す。チェリオは乾いた唇を舐めて、ユーリの細い足の間に身体を割り込ませた。 「同意だよな?」  再度問う。ユーリは口元を押さえながら頷いた。  チェリオはユーリのくぼみの奥を暴くために猛ったペニスをユーリのそこに押し当てた。吸い付くような弾力のある肌が先端に触れるだけで、期待と興奮に暴発しそうだ。チェリオはふうふうと息を弾ませてユーリのくぼみに侵入した。  はあっと艶のある吐息があがる。狭いそこを亀頭が割り開き、カリ首あたりまでゆっくりと埋める。先を促すかのようにユーリのそこがチェリオのペニスにまとわりついて、チェリオは堪らず眉を顰めた。 「っ、すっげ、きっつ」  イキそうと誰に言うともなくつぶやき、腰を進めようと体勢を変えた。カリ首が埋まり、チェリオは気持ちよさに息を漏らす。ゆっくり入れなければ暴発しそうだからだ。ユーリのそこは想像以上だった。程よい圧迫感にふわふわと襞が絡みつき、どうすれば雄をその気にさせらせるかを体中、いや、粘膜までもが知っている。  チェリオは息を荒らげながら一度ペニスを抜いた。快楽を与える熱を逃すまいと追いかけるようにユーリの粘膜が絡みついてくる。これだけで十分いけそうと内心しながら、チェリオがもう一度ゆっくりとユーリの秘部に亀頭を宛て、割り開く。ぬるぬると飲み込まれていく。亀頭が、カリ首が埋まり、チェリオは耐え切れずに快楽に歪んだ息を漏らした。自分の顔が真っ赤になっているのが分かる。耳が脈打っているのかと思うほど熱い。 「あー、やば」  マジですぐにイキそうとチェリオが漏らした時だ。 「焦れってえんだよ、童貞(チェリー野郎)」  ユーリの長い足が絡みつき、チェリオのペニスがユーリに飲み込まれていく。突然の感覚にチェリオは思わず声をあげてベッド側の壁に片手を突いた。 「あ、あっぶねえだろっ」  声が上ずっている。ユーリはにやりと笑って続きを促すように声を動かした。それならと、チェリオはユーリの足を肩に担いでがつんと穿った。勢いでベッドが軋む。それに伴ってユーリの甘い声が耳に絡んで離れない。こうなったら絶対に喘がせてやるとチェリオが何度も腰を振る。階下に響くのを忘れてチェリオが勢いよく腰を振るのに合わせて、ユーリもまたじぶんのいいところにあたるように腰をくねらせながら腰を前後させる。短く喘ぐさまが妙に色っぽくてチェリオはごくりとつばを飲んだ。ユーリに顔を近付け、半開きになっている濡れた唇に唇を触れようとした時だ。 「おいユーリ、なんの音だ?!」  ドアが乱暴に開かれた。うおっと驚きの声を上げたのは、ドアを開いたジャンカルロも同じだった。チェリオは慌ててユーリの中からペニスを引き抜きぬこうとしたが、ユーリの締め付けがきつくてかなわない。むしろユーリはクックッと笑いながら腰を揺すってきた。 「わっ、ちょっと!?」  拍子にチェリオの白濁がユーリの中で弾けた。あんっとわざとらしくユーリがいやらしい声を上げる。体勢からして二人がなにをしていたかなど一目瞭然だ。ジャンカルロが大袈裟にため息を吐いた。 「ったく、目を離すとすぐこれだ」  しわがれた声を張り、ジャンカルロがユーリを睨む。チェリオは慌ててユーリからペニスを抜き去り、シーツで汚れたペニスを拭おうとしたが寸ででユーリに捕えられた。 「おいっ!」 「硬いこと言うなよ、応急処置じゃねえか」  言いながらもチェリオのペニスを扱く手を止めない。チェリオは慌ててユーリの腕をつかんだ。 「馬鹿なの!? 俺が収監されんだろうがよ、やめろっつの!」  亀頭をきゅうっと指で押され、反射的に腰を引く。とぷっとユーリの褐色の肌を先走りが汚した。張ったそこをなだらかに滑る落ちてくる先走りをユーリが指ですくい取り、その指をためらいなく舐めて見せる。それを目の当たりにしたチェリオが爆発した。  断続的にユーリの腹や臀部に精液が降りかかる。ユーリはぽかんとしていたが、すぐに満足げな笑みを浮かべて笑い始めた。 「だーっもーっ、最悪っ! なんでジャンカルロのおっさんにイッたとこ見られなきゃなんねえんだよ!」 「あっはっは、早すぎんだろ、本当にチェリー野郎か?」  くっくっと笑いながら顔を濡らす精液をぬぐう。褐色の肌に白濁が良く映える。さっきまでの色っぽさはどこに行ったのかと言いたくなるほどカラッとした笑顔を見せるが、そのギャップにくらりとする。 「ほら、早くどうにかしろ! せっかくサシャからの信用を得られたってのに、おまえらのせいで信用がた落ちだろうがよ!」  ジャンカルロがユーリにデニムと下着を投げつけながら言う。チェリオは精液にまみれたペニスをシーツで拭ったが、ジャンカルロの視線が痛い。何事もありませんでしたと言って済むような状況ではないし、ユーリに挿入しているところをばっちりみられているのだ。 「だってこいつがっ! おまえも見ただろっ!? エロいんだよ!」  精一杯の言い訳だ。いや、言い訳にもならない。けれどそれはチェリオの腹からの声だった。ユーリが吹き出して、腹を抱えて笑う。チェリオが中にはなったものがとろりと出てくるのを目の当たりにして、チェリオはシャツの裾を引っ張った。とんでもない色香のせいでまた反応したのだ。 「おい、なんでまた勃たせていやがる?」  ジャンカルロが睨みを利かせてくる。 「俺に言うなよぉ……こいつがエロすぎて」 「あんたのも反応してない?」  ユーリがジャンカルロをからかうように言いながら、誘うような笑みを浮かべる。ジャンカルロがカッと顔を赤らめた。 「おら、てめえもとっとと服着替えやがれ!」  ジャンカルロはさすがにユーリの罠には引っかからなかった。代わりに八つ当たりとばかりにチェリオに怒号を浴びせる。尻を蹴られ、チェリオは「ふざけんなおっさん」となじりながらいまだに芯と熱を持つペニスを湿った下着の中に押し込んだ。

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