3 / 143
第3話
教室に戻ると女の子たちはみんなさっきのかっこいいと言う先生の話題で持ち切りだった。
やっぱり女の子ってかっこいい人が好きなんだなぁ。僕も嫌いではないけれど。
あ、でも今朝のお兄さんはかっこよかったな。もう会えないと思うけれど……。
「来た!!!」
廊下で見張っていた女の子が大きな声でそう言った。きっと先生が来たということだろう。その声を聞いた途端女の子たちはキャーキャー言い出して、正直怖かった。
ガラッと開いた扉から、イケメンの先生が入って来た。
あれ……?
「おはようございます。今日から担任になる、有馬 朔夜です。みんな、よろしくね」
「「「キャー!!!」」」
先生の自己紹介が終わると、女の子たちの黄色い声が耳を劈く。
ねぇ、まって……。
「ね!律、カッコイイでしょ!?」
「う、ん……、すごく……」
かっこいいに決まっているじゃないか。
だって、さっき助けてくれたお兄さんだもの。
もう会えないと思っていたのに、こんな形で再開するとは思わなかった。
びっくりして固まっていると、有馬先生も僕に気付いたらしく、びっくりした顔をしていた。だけど直ぐに元の笑顔に戻ってしまった。
「じゃあ今から配布物を配るから、後ろの人に回してね」
にこり、と笑うともうみんなメロメロだ。もっと前に座れば良かった!そしたら先生から直接プリントを受け取れたのに!
「くそー!もっと前に座れば良かった!」
どうやら千花ちゃんも僕と同じ事を思っていたらしい。
配布物を全て配り終わり、今日はもう終わりらしい。明日は身体測定や学校案内がメインだが、ちょこちょこ授業が入っているらしく、教科書は置き勉する事にした。
学校が終わり、もう帰るだけだ。
いつでも帰れるのだが、僕にはやらなくてはいけないことがある。
先生にお礼が言いたい!!
その為に少し帰る時間を伸ばそうと思っていたのだが、先生の周りには当然女の子たちが群がっている。
うっ、これじゃ近づけない!
「はぁー、有馬先生と話したかったけど、あれじゃ無理そうだねぇ。諦めるかー」
「そうだね。残念だけど……」
千花ちゃんと僕、その他の出遅れてしまった人たちが諦めて教室を出て行く。
「ねぇねぇ、暇ならさ、学校探検しない!?」
「学校探検?」
「そう!どこに何があるか気になるじゃん!」
「確かに。僕も暇だしいいよ!」
帰っても僕一人で暇だし、千花ちゃんのせっかくの誘いを断る理由もないし学校探検することにした。
もしかしたら、有馬先生に会えるかもしれないという期待も込めて。
ともだちにシェアしよう!