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第6話

そう言えば、僕の荷物はどうなったんだろう。母が先に送っておくと言っていたけれど。 「あの、僕の荷物って……」 「あぁ、別の部屋に置いてるよ。その部屋使ってくれていいからね」 「いいの!?本当に!?」 「いいよ」 僕の部屋!初めての自分だけの部屋!嬉しい! 小さい頃に母親と暮らしていた時は、安いアパートだったから自分の部屋は作れず。 大きくなるにつれて、母は海外出張が続いてその間は親戚の家をたらい回しにされていたので、当然自分の部屋なんて貰えるはずもなく。 荷物の整理もしたいし、とにかく早く行きたい!僕のワクワクが朔夜さんにも伝わったみたいで、部屋まで案内してくれた。 「ここだよ。荷物ってこれで全部?すごく少ないけど」 「あ、うん!これで全部」 部屋にはダンボール3箱がちょこんと置いてあった。中身は洋服やその他必要なもののみ。 この広い部屋が僕の居場所になるなんて嬉しい。 「布団は?明日送られてくるとか?」 「え、布団?ないよ」 「え?ないの?」 「だってずっと親戚の家をたらい回しにされてたし、あとはホテルに泊まったりとかしてたから布団は持ってない」 そう言うと朔夜さんはびっくりした顔をしていた。そうか、朔夜さんは一人暮らしだしもう一枚布団は持ってないのか。どうしよう。今すぐ布団を買えるお金なんて持ってないし……。 まぁソファ貸してもらったり、最悪床で寝るか。 「俺と寝るか。大きいサイズのベッドだから、たぶん寝れると思う」 「え、一緒に寝るの!?いいよ、狭くなるから!僕はソファで寝る!」 「だめ。ソファは体が痛くなるから、今日は一緒に寝よう。今度布団買ってあげるから」 ま、まじか……。 好きな人と一緒に寝るなんてどんな罰ゲームだよ……。いや、ラッキーなのか?いやいや、好きすぎて無理。僕なんかが隣にいていいんですかって感じ。 仕方なく一緒に寝る事を承諾して、ダンボールを開封し始める。朔夜さんも手伝ってくれるみたいで、少ないダンボールを開けていく。2箱は洋服だ。もう1つが……。 「わ、何これ?」 「僕の食料」 「この大量のカップ麺が食料……。ずっとこんなの食べてきたの?」 「自分の食べ物は自分で用意しなさいって言われてきたから。それは僕の命の源」 親戚の人たちはあまり優しくなかったから……。いや、こんな僕を置いてくれるだけ優しかったのか。家に置いて貰えるだけ有難く思え、食べ物まで用意してくれるのが当たり前だと思うな、とよく言われていたからな。 てっきりそれが常識だと思っていたから、今回も自分の分の食料を用意してきたという訳だ。 「これは没収します!こんなの食べてたら体壊すよ!」 「そんな!!僕に餓死しろと!?」 「なんでそうなる!自分の分は自分で用意しろって、それおかしいから!まだ子どもなんだからそう言うのは大人に甘えていいんだよ」 ナデナデと僕の頭を撫でる朔夜さんは優しい顔をしていた。この人は今まで会ってきた人たちとはまた違うんだ。 なんだろう、変な感じ。むず痒い.......。 「あ、ありがとう……。朔夜さんって変な人だね」 「なんで?」 「だってさ、僕に優しくしてくれるから。そういうの慣れてないから……なんか変な感じする」 あっ、しまった……!こんな事言ったら「僕可哀想でしょ?」というアピールになってしまうのではないか!?そんな構ってちゃんみたいな事言うなんて! すごく後悔していると、ギュッと抱き締められた。 え、待って??なんで抱きしめられた?

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