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第10話
教室に入り、千花ちゃんとお喋りしていると先生が教室に入ってきた。今朝も見たが、やはりカッコイイ。
千花ちゃんも「カッコよすぎ無理」と顔を覆ってしまっている。
おいおい、気持ちは分かるけど見ないと損だぞ!
「おはよう。今日の予定は身体測定と、午後に学校案内です。体操服に着替えて体育館に集まってください」
皆それぞれ「はーい」と返事をして、体操服に着替え始める。女子は更衣室に移動するため千花ちゃんも移動して行った。
持ってきた体操服を机に出して、ブレザーを脱ぎ、シャツに手をかけようとした所で一人の男子生徒に声をかけられた。
「春海って色白くて可愛いよな!ずっと女子と居るから話しかけずらくてさ!」
「へ、」
「分かる分かる!人目見た時から気になってて、一目惚れってやつ?」
「はぁ……」
何人かの男子生徒が周りに群がってきて、次々と話される。 なんか怖いんだけど……。
話しかけてくれるのは嬉しいのだが、この人たちの目が怖かった。品定めするように全身を見られ、いい気はしない。
「俺、春海なら男でもイケるわ!」
「それな!」
「は?何言ってんの?」
突然そんな事を言われ、バカじゃないの?と思った。口に出してしまいそうになったが踏みとどまった。
僕はイヤなんですけど。
グイグイシャツを引っ張ったり、体をペタペタ触られて気持ち悪い。男子ってこんなノリなの?絶対違うよね。
ハッキリ言わないと!嫌だって!
「こら!お前ら何やってんだ!着替えた奴は体育館行け!」
「は、はーい……」
戻ってきた有馬先生の一言で群がっていた男子生徒達はさっさっと体育館に行ってしまった。助かった、だけど……。
「大丈夫!?り、……春海くん」
「……怖かった。なんであんな事するの?なんで体ベタベタ触るの?嫌だよ……気持ち悪い……」
先生の声を聞くと安心してしまって、我慢していた涙が溢れた。ぐすぐすと泣く僕の背中を優しく撫でてくれて、余計に涙が溢れる。
「りーつー!着替えたー?って、え!?なんで泣いてるの!? 先生に告白してフラれたの!?」
「ぢがうわ!バカ!」
体操服に着替えた千花ちゃんがガラッと教室の扉を開けて入って来た。そして泣いている僕を見てびっくり。
てか、バラすなよ!バカ千花ちゃん!!
涙声で抗議して、えぇっ!と千花ちゃんも慰めてくれる。
「どうしよう……。もう時間ないし、保健室行く?」
「そうだね。この時間は欠席にしておくから、保健室で落ち着いておいで。俺が連れて行くから、須藤さんは先に行ってて?」
「は、はーい……」
心配そうな顔をして、先に体育館に向かった千花ちゃん。 教室には僕と先生の二人きり。
こんなに泣いてちゃダメだ。先生を困らせてしまう。早く泣き止まないと、と思うのにさっきの事を思い出してまた涙が出てくる。
僕は普通の友達になりたかったのに、あの人達が僕を見る目は違った。どうして普通の友達じゃダメなの。僕は友達になりたかった。
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