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第13話

やっと学校が終わり、千花ちゃんと帰ろうとしていた時、廊下で有馬先生と会った。 当然千花ちゃんはこの機会を逃すまいと話しかける訳で。 「先生先生!見てみて!このお弁当凄くない!?律のお弁当なんだけど!」 「ち、千花ちゃん!」 僕のお弁当が気に入ったらしく、写真を撮りたいと撮っていたものを先生に見せている。 千花ちゃん!それ作ったの、先生だから! あ、先生もちょっと嬉しそうだ……。そりゃ自分の作ったお弁当を褒められたら嬉しいよね。 「ふふ、本当だ。すごいね」 「だよね!なんか、同居人に作って貰ったらしいんだけど、絶対年上のお姉さんだよ!」 「何言ってんの!違うから!」 何言っちゃってんの!?お姉さんじゃないし!正しくはかっこいいお兄さんだから! 「お姉さんかは分からないけれど、愛情が篭もった素敵なお弁当だね。きっと作った人も素敵なんだろうな」 「う、……まぁ、それは……そうだけど……!」 「おや、おやおや律さん!好きなのかい!?その人の事が好きなのかい!?」 嘘でも否定できなくて、素直にそう言うと千花ちゃんはニヤニヤした顔で僕を覗き込みに来る。 は、恥ずかしい……! 「もう!帰るよ千花ちゃん!」 「照れちゃってー!じゃあね、先生!さようなら!」 「はい、さようなら」 早足で去る僕の後ろを千花ちゃんが追いかけてきた。「今日はどこに寄る?」と言われたが、今日は早く帰りたい気分だ。夜ご飯も楽しみだし、朝食べた食器を洗っておこうかなって。 そうだ、千花ちゃんに聞きたいことがあったんだ。 「ねぇ、千花ちゃん。人に甘えるのってどうするの?」 「甘える?」 「そう。千花ちゃんはどうする?」 「んー、私なら……。こう、腕を組むでしょ?」 そう言いながら、千花ちゃんは僕と腕を絡ませた。ぎゅっと密着して、かなり距離が近いと思う。 「んで上目遣いで見る、かな?ここでのポイントは胸を押し当てることだね!まぁ律は胸無いけど」 「なるほど……。確かに相手が千花ちゃんじゃなかったらドキドキするかも……」 「おい、失礼な事を言うな」 これ、男の僕がやっても大丈夫だろうか。あくまで甘える時のやり方だし、人それぞれあると思うし。 でもこのやり方、確かにドキドキすると思う。 ものは試しだよね。 「ありがと千花ちゃん!また明日ね!」 「うん、またねー!」 軽い足取りで去っていく律を見て、千花は思った。 まぁアレ、恋人にする甘え方なんだけどね。

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