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第15話

* 入学式の日から数日が経ち、ようやく休日がやってきた。学校の先生は休みがないと聞くが、今日は朔夜さんもお休みみたいで、ゆっくりとベッドの上で過ごしていた。 朔夜さんの腕の中で眠って、優しい匂いに包まれて最高に幸せだった。できればずっと寝ていたい。 「律、起きてるでしょ? お出かけしよう」 「んぇ……? おでかけ……?」 「そう。律の布団見に行こう。あとはタンスとか机も欲しいよね」 「ん……、欲しぃ……」 再び寝ようとすると、朔夜さんが起き上がったせいで眠れなくなった。暖かくないから寝られない。朔夜さんにぎゅってされながら寝ないと安眠できないし……。 仕方なく僕も起き上がって、頭が冴えるまでしばらくベッドの上でぼーっとする。 あれから何分経ったのか分からないが、いい匂いが鼻をくすぐる。 いい匂い……。お腹すいたぁ……。 まだ眠くてぽやぽやしている頭で、フラフラしながらリビングに入りソファに丸くなる。 目が開かないのは眩しい太陽のせいだな。 「ご飯出来たけど……。って、また寝てるし。律って朝弱いよね。今までどうやって起きてたの?」 「どーやって……? 起こしてくれる人が居なかった、から……、自分で起きてた……。今は、その必要ない……」 なるほど、これは律の甘えなのか。と少し嬉しくなる朔夜。 頭を撫でられて、それが気持ち良くてずっとこうしていたい。だけど、そろそろ起きないといけない。お出かけしたいし、あまり遅くなっても悪いからな。 のそっと起き上がって、眠気を覚ますために顔を洗いに行く。冷たい水で顔を洗うとかなり頭が覚めた気がする。 「おはよぉー」 「おはよ。ご飯食べたら行こうか」 「はーい」 食パンの上にハムと目玉焼きがのったトーストとヨーグルト、朔夜さんはコーヒーを飲んでいて、僕は牛乳だ。背を伸ばすために牛乳を飲むようにしているのだが、今のところ効果はない。 朝から美味しい朝食を食べれて幸せだ。 「うーん、着ていく服どうしようかな……」 「普通の服でいいんじゃない?」 「普通ってどんなの?とりあえずズボンはコレでしょー」 僕はかなり衣装持ちだと思う。逆に言うと服しか持っていないのだ。 母が海外で仕事をしていて、地元の変わった服やら、民族衣装やらを送ってくるのだ。こんな服一体どこで着るんだというものばかりで、一度も袖を通さないまま溜まっていく一方。 唯一持ってる黒のスキニーをダンボールから引っ張り出して、これで下は決まった。 問題は上だ。派手なアロハシャツやヒラヒラした民族衣装っぽい服。 これマシなんじゃない?と思われたパーカーもダサいバナナの絵がプリントされていて、こんなの着て朔夜さんの隣なんて歩ける訳ない。ある意味注目の的だ。 「なんか変わった服ばっかだな……。このバナナのパーカーが一番マシなんじゃない?」 「こんなダサいの着れないよ!」 「じゃあ俺の着る? パーカーとかなら着れそうじゃない?」 そう言って朔夜さんのパーカーを持ってきてくれた。黒と白のかっこいいパーカー。そうそう、こういうのが着たいんだよな。 試しに着てみると、すごくブカブカだった。うん、何となく分かってた。だって体格差あるもん。 「どう!?いい感じ!?」 「いい、感じ……かな? まぁオーバーサイズとか流行ってるし、いいか」 オーバーサイズを着て可愛いのは女の子だけなんだよな、きっと。僕が着たら変じゃないのかな? だけど気付いた。これは彼シャツならぬ、彼パーカーなのではないかと!まぁ彼氏じゃないから彼パーカーと言うのかは謎だけど、朔夜さんの服を着ることに意味があるのだ。変だったら脱ごうと思ってたけど、もう脱がないぞ!絶対に脱がないぞ!

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